聖なるクリスマス、子供達が笑い合い家族と共に暖かい1日を過ごす日。
そして、子供達にとっても一番特別な日。
アリスと言う少女もまた、一人の子供であり少しだけプレゼントが貰えることに期待していた。
しかし彼女のもとにはサンタクロースはやって来ない。
やって来るのはあふれる憎しみや、外の子供たちに対する羨ましさ。そして同時にくる悲しみや寂しさ。
彼女の元には最悪な物しか来ない。それはそうだ、彼女は良い子ではないのだから。
それでも、彼女の周りには『愛』をくれる者たちはたくさんいる。偽物かもしれないがアリスにとっては一つ一つがとても大切な『愛』。
今日もその愛を求めに、外に出る。
いくら愛を貰っても、彼女の心に空いた空洞は埋まらない。
それどころかその愛を吸収してまた穴が大きくなる。
彼女には、もう、何も残ることもないのか。
彼女の中には今まで本当の愛をくれていた者たちがたくさんいる。
しかし、この現世には帰ってこれない。
大切だった恋人も、親も、親友も。
今日も『少女』は、一人だけ涙を流す。
今日は聖なるクリスマス。
誰も彼もが喜び合い、プレゼントをもらい、笑い合う。
そんな素敵な日に、一人の『少女』は声にならない声を上げ、皆からもらった『愛』でドロドロになった涙を流す。
誰にも気づかれず、誰にも分かられず、誰にも知られず、終わらせるために。
自分という『化物』を終わらせるために。
ゆっくりと天井から伸びる蜘蛛の糸に手をかけようとする。
しかし、悪魔に足を握られ引きずり降ろされる。
『少女』の悪夢に終わりは来ない。
『少女』の中にある歯車が止まらないか限り、終わりというものは永遠に訪れない。
ただ、『少女』が望むことはたった1つ。
たった、それだけだった。
今日は楽しいクリスマス、みんなが嬉しいクリスマス、大切な人と過ごす特別なクリスマス。
さようなら。さようなら。
私が望んだクリスマス。
私が嫌ったクリスマス。
もう、悲しむことなんてないんだ。
悲しみは、過去と共にゴミ箱にさようなら。
永遠に、私の記憶から、さようなら。
次の人生では、とても楽しいものになっててね。
もう私には、必要ないから。
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