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6月11日は傘の日
ロストアンブレラ
しろニキ
学パロ
ニキ視点
「まじかーっ……」
部活が普段よりも早く終わり、ウキウキで帰ろうとしたところでの生憎の雨。これには先程まで上がっていたテンションもだだ下がり。傘はあるにはあるが教室の机の中、取りに行くのもめんどくさい。
そんなタイミングで部活終わりであろうボビー発見。これは傘に入れてもらうしかない。そうとなれば、彼の方に一直線で向かう。
「ボビー傘に入れてよぉ〜」
「なんでお前と相合傘せなあかんねん」
「俺に傘貸してくれるだけで良いんだよ?」
「俺は濡れて帰れと?」
彼の疑問に迷う余地なくYESと答えた。そんな俺の様子に呆れ、笑いながらも自身の鞄を漁り、折り畳み傘を取り出す。
「いや、普通に俺は帰んで?」
「ボビーのケチ」
傘を開き、あと一歩で雨に濡れる。そんなタイミングで彼が振り返った。
「……おいでニキ、家まで送ったるわ」
不敵に笑いながらもこちらを捉える深紅の瞳と目が逢った。呑み込まれてしまいそうなほど深く、どす黒く、鋭い濁りなき眼。大方この借りは身体で返せ、という事だろう。
「ボビちゃんイケメーン♡」
嗚呼、休日が待ち遠しい。
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一枚上手
しろ←ニキ
ニキ視点
「ボビー傘持ってないー?」
「持っとるけど自分の使えや」
「それがさー、置き傘してたんだけどどっか行っちゃって…」
「自業自得やろ」
予想外の雨に見舞われて、置き傘していたはずと安心していたが同じ思考の奴に持っていかれていた。本当に最悪だ。相方に話しかけてみても貸してくれなさそうだし…。それに今週はテスト前なので部活はお休み。さてどうしようか。
*
あの後、図書室に行ってひとり寂しく勉強をした。ふと、時計を見れば18時30分。随分と時間が経ったようで雨が止んだかと窓の方を見やった。
「もうほんと最悪…」
雨が止んでる訳もなく、なんなら先程よりも激しさを増しており、ずぶ濡れ帰宅確定。これ以上酷くなる前に帰ろうと手につけていた教材を鞄に入れる。テスト心配だな、雨止むのかな、今日の夜ご飯なんだろう、そんなどうでもいいことを考え、深く溜息をつきながら下駄箱に向かう。
俺の無くなった傘が戻ってないかな、という浅い希望からクラスの傘立てを見た。
「ボビー傘忘れてる…」
下駄箱で靴を履き替えようと手を伸ばすと俺の靴の上に白い置き手紙があった。それは『俺の傘使いや』という端的な言葉。だけれどもその字には見覚えがあって、手紙に使われた紙だってアイツが手にしている付箋で、その特徴的な関西弁も全て、俺の親友であるボビー以外有り得ない。バクバクと高鳴る騒々しい程の心音と赤くなる頬を誰にも知られたくなくてその場に蹲った。酷くでかい溜息をついて、頭を抱える。
「そんなの狡いじゃん…?」