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# 第2話 来ない朝
朝の空気は、昨日と何も変わらないはずだった。
家を出て、近所の細い道を歩く。
角を曲がれば、いつもの場所でらんらんが待っている ――はずだった。
「あれ……?」
古い電柱の下。
春先になると雑草が伸びてくる、
その場所に、らんらんの姿がない。
たまたま遅れているだけだろう。
そう思って、立ち止まったまま少し待つ。
だけど、五分経っても、十分経っても、
らんらんは来なかった。
「……先、行ってるのかな」
胸の奥が、ざわっとする。
理由の分からない不安。
俺は一人で学校へ向かった。
教室に入ると、らんらんの席が空いていた。
遅刻か、体調不良か。
そうやって、頭の中で理由を並べる。
けれど、ホームルームが終わっても、
らんらんは来なかった。
「らん、今日も休みか」
担任の先生の一言が、胸に落ちる。
“今日も”――?
その言葉に引っかかりを覚えながら、授業を受ける。
黒板の文字が、頭に入ってこない。
後ろの席を見てしまう癖だけが、
やけに残っていた。
昼休み。
いつもなら二人で近所の公園のベンチに座ってパンを食べる時間だ。
今日は、一人で机に向かう。
「すち、らんと一緒じゃないの?」
クラスメイトに聞かれて、曖昧に笑った。
「今日は……用事みたい」
本当は、何も知らないのに。
知ったかぶりをした。
放課後、近所の道をゆっくり歩く。
もしかしたら、帰りは会えるかもしれない。
そんな淡い期待を抱いて。
でも、あの電柱の下にも、
らんらんはいなかった。
次の日も、その次の日も。
らんらんは、来なかった。
心配で、家の前まで行ったこともある。インターホンを押す勇気は、結局出なかった。
理由も分からず、踏み込むのが怖かった。
「らんらん……」
名前を呼んでも、答えはない。
連絡先は知っているのに、メッセージを送る指が動かない。
“重かったらどうしよう”
“迷惑だったらどうしよう”
そんな言い訳ばかりが、頭を埋めていく。
夕方、近所の空が赤く染まる中、一人で歩く帰り道。
隣が、ひどく広く感じた。
昨日まで確かにあった日常が、音もなく欠けていく。
理由も分からないまま、俺はただ、不安を抱えて立ち尽くしていた。
らんらんがいない朝が、
こうして当たり前になっていくなんて
――思いたくなかった。
➡♡200
♡毎回沢山ありがとうございます!
目標数が達成出来次第投稿したい気持ちは山々なのですが、最高1日1話とします…!
(書くのが追いつかないので)
ですが、毎日達成できていれば、実質毎日投稿になるので、これからも沢山押してくれると嬉しいです…!
おこがましくてごめんなさい…