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「んーっ! おはよー、アリア」
『おはようございます、ティナ。簡易バイタルチェックを開始……スキャン中……バイタルに異常は見られません。マナ欠乏症も回復しています』
「ん、ありがと」
メリルさんと雑談でちょっと夜更かししてしまったけど体調は絶好調。メリルさんは私があげた栄養スティックをそのまま持ち帰った。無味無臭だけど、せっかくだから食べきるつもりみたい。無理はしなくてもとは思うけど、本人が望むなら断る理由もないからね。
ただ、カロリーの問題で一度に全部は食べないように注意しておいた。味は最悪だけど、上手く使えば地球の食料問題を解決できるんじゃないかな?その当たりはばっちゃんと要相談だ。
『ティナ、マスターフェルから通信が入っていますが』
「繋げて」
ブレスレットから映像が投影されて、そこにフェルが映し出された。
『おはようございます、ティナ』
「おはよー、フェル。昨日は心配かけちゃってごめんね?」
『ティナの無茶には慣れていますが、マナ欠乏症を起すくらいの無茶は止めてくださいね?』
「うん、約束は出来ないけど気を付ける」
でも、目の前で助けられる命があったら私は迷わずに魔法を使うと思う。捨て置くことなんて出来ない。命より尊いものなんて存在しないと信じてるから。
さて、切り替えていこう。明日はいよいよ国際会議だ。アリアの話だと、既に地球の主要国の代表達がアメリカに集まってるらしい。水面下で事前交渉が行われている。
個人的には前世の故郷日本に強い関心があるけど、露骨に贔屓するわけにもいかない。その辺りが難しい。
説明のための資料はアリアが準備してくれた。とにかくセンチネルの脅威を理解して貰って、アードとの友好関係構築を急がないといけない。
センチネルの活動範囲については良く分かっていない。まだこの辺りには進出していない可能性もある。だけど、私達アード人は知っている。
奴らは適した惑星を見つけたら基地を建設して活動範囲を徐々に広げていってる。何時になるか分からないけど、必ず奴らは天の川銀河全域に活動範囲を広げると思う。
今すぐとは言わないけど、少しずつでも地球全体で協調していければと思う。頑張ろう!
「おはようございます!」
「おはよう、ティナちゃん。良く休めたかしら?」
「はい、お陰さまで!」
部屋を出た私はメリルさんと会う。良かった、見た限り変化はない。渡した栄養スティックは少しずつ食べているみたい。
「あれ、凄いわね。一口でもう満腹よ。力が漲るわ」
「それは良かった」
「ただ、無味無臭なのはどうにかしないといけないわね」
「はい、栄養スティックについては地球との共同開発が出来ればと思ってます。まだ先の話ですけど」
将来的にはお母さんを地球に連れていきたい。協力してくれそうな学者さんはお母さんだけだしね。
お母さんは科学だけじゃなく医療でもアード有数の権威。それと、魔法学者でもあるお父さんも連れて行きたいな。アードの技術を地球で使う際の助言を得られるはず。持つべきはハイスペックな親だね。
「素敵な話ね。フレーバーを加えるだけでも化けるわよ。私が保証する。普及すれば地球から餓死者が居なくなるわね」
「出来ればそうしたいですね」
アードとの交流で恩恵が受けられたら、もう少し前向きになってくれないかな? 難しいかな?
「今日はどうするの?」
「明日は大切な会議がありますから、出来ればあんまり出歩かないようにしようかなと」
「それなら、カレンと会わない?今日退院予定なのよ」
「是非!」
カレンさんの誘拐事件については聞いてる。ジョンさんかまさかの大活躍だったみたいだけど二人に怪我がなくて本当に良かった。
“身代金目的の誘拐”だって聞いた時は強い怒りを感じた。友達に手を出されて怒らない何てあり得ない。地球の裁きを受けたから、私が出来ることはないけどさ。
「じゃあ決まりね、今から迎えに行くから待ってて。ニシムラさん、お願い出来る?」
「いや、私が迎えに行きましょう。メリルさんはティナさんの護衛なんだから側に居ないと」
「えっ?でも」
「お任せを。では行ってきます」
そう言ってジャッキー=ニシムラ(純情派)さんは爽やかな笑顔で出ていった。男前だなぁ。
お昼、食堂で昼食を済ませた。用意されたのはアメリカでも一般的な料理ばかりだけど、どれも美味しかった。
ただ、私が食べる様子を観察する白衣の皆さんがちょっと怖かったけど。アード人の趣向調査かな?私を基準にしてもあんまり意味がないような気がするけど、言わないようにした。
メリルさんと雑談しながら食休みをしていると、カレンさんがこっちに向かって走ってきた。うん、元気そうだ。
「ティナさん!」
「カレンさん!良かった、お元気そうで……むぎゅっ!?」
カレンさんはアメリカ人らしく飛び付くような勢いでバグしてきた。フェルと同じくらいの豊満な身体はすんごく柔らかいんだけど、身長差でその豊かな胸に埋もれてしまう。
「会いたかったーっ! 元気にしてた!?」
「むぐぐっ!」
「カレン、嬉しいのは分かるけどそのくらいにしなさい。ティナちゃんが死んじゃうわ」
「わっ!?ごめんなさい!大丈夫ですか!?」
メリルさんの言葉で無事に解放された。いや、抱きつかれるのは嫌いじゃないんだけど、窒息は勘弁してほしい。もう少し身長があればなぁ。期待薄だけど。
「あはは、大丈夫だよ。カレンさんも大丈夫?事件の事は聞いたよ」
「うん、お父さんが助けてくれたから怪我もないよ!」
怖い思いをしただろうに……笑顔だ。強い娘だなぁ。
「あんまり無茶はしないでね?話を聞いて私もビックリしたんだから」
「あはは、しばらく学校はお休みになっちゃったから大丈夫だよ。あんまり出歩かないようにする」
自由を奪われたのは可哀想だ。いや、だからこそ私のお土産が役立つかもしれない。
「そんなカレンさんにお土産があるんだ」
「カレンで良いよ。それで、なにかな?」
「わかった、じゃあ私もティナで良いよ。そして、これだよ」
私はメロンくらいの大きさの水晶を取り出した。カレン個人へのお土産。
アードでは一般的なものだけどね。皆が首を傾げる中、私は笑顔を浮かべて説明することにした。
ところで、何でジャッキー=ニシムラ(今日はノーパン)さんは私とカレンを見て恍惚とした顔をしてるんだろう?