テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
すまない先生は家に帰って、夕食を食べたあと、すぐパソコンの電源を入れ、調べた。
ブラックや、レッド、ブルー、赤ちゃんは分からなかったが、“残り2人”はわかった。
(・・・バナナ王国第一継承者・・・ミスターバナナ)
画面に写っている彼は、すまない先生が知ってる無表情な表情ではなく、少し子供らしく笑うバナナと、その婚約者の写真だ。
国が滅びず、婚約者が行方不明にならず、復讐の道に走らなければ、彼は、こんな顔をするのか。
すまない先生は、初めてそう知った。
✵✵✵✵✵✵
次に調べたのは、ミスターマネー。
どうやら、父の仕事について行ってる写真だ。
後ろにピグリンを連れ、近くには執事らしい人が。
そして、マネーはメガネを掛けていない。
この世界では、家族も、妹も、執事も奪われて居ないマネーは年相応の笑顔だった。
すまない先生は胸がズキリと痛くなった。
──そんな顔、知らなかった。
──そんな顔、出来たんだ・・・
──そんな顔・・・僕には出来なかった。
ドロドロした黒い考えが胸を圧迫する。
苦しくなり、思わずパソコンの電源を切り、そのままベッドへダイブした。
それでも、モヤモヤは晴れない。やがて、こんな考えが頭に過ぎった。
(・・・もしかしたら、“あっち”の世界が夢で、“こっち”の世界が現実なのかな・・・)
自分らしくない、そんな考えが頭の中を支配する。
やがて、瞼が重くなり、そのまま目を閉じた。
✵✵✵✵✵
ふと、目が覚めると真っ白な空間に立っていた。
上下左右、どこ向いても真っ白。
まるで、白い絵の具の中に居るみたいだった。
ぼんやりしていると、
くすくすと笑う声が。
思わず振り返る。そこには、緑のフードに、白い髪、深い青の“エウリ”が立っていた。
「あら?すまないさん、どうしました?驚いたような顔をして」
エウリはくすくす笑顔を浮かべていた。
「あ、ええっと・・・その・・・」
すまない先生が言い訳しようとしどろもどろになっているのを、エウリはくすくす笑う。
「・・・にしても、なんでエウリが夢のなかに?」
「あら?私が夢にいるのが変ですか?」
エウリは可愛らしく頬を膨らませる。すまない先生が苦笑しながら答えようとした。
すると、エウリはくるりと周り、答えた。
「ここは“すまないさん自身”の夢の中、現実から切り離された夢の世界。」
突然エウリがそうこぼした。
「ここではどんな非科学的な夢を見ても、非現実的な夢でも好きに見れる世界」
エウリはくるりくるりと回る。ふわりと髪とスカートがはためく。
だが、何故かすまない先生は、
“声に出せない恐怖”が胸から湧いてきた。
「空を飛ぶことが出来ない人間が、空を飛ぶ夢、恐ろしい化け物に追われる夢、ただの人間がヒーローになる夢・・・日常じゃ、できないことをやれる自由な世界。この夢の世界はとてもとてもいい所でしょう?」
すまない先生は、震える声で目の前の“彼女”に聞いた。
「・・・“君は・・・誰だ?”」
そう聞くと、エウリはキョトンとした表情を浮かべたが、やがて、
瞳が赤く、冷たい目に変わった。