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「まさか私たちの都が奴らに晒される日が来るとは…ヴォグデイの名に残る永遠の不覚です。」
遠い目をした少女は燃え盛る炎の中でそう小さく呟く。
「アシャータ姫、ここは危険です。すぐにお離れください。心苦しいですが、残り数分と持たないでしょう。さあ、早く!」
家臣であるファルトが彼女を呼ぶ。
「できません、ファルトよ。私はここの、天空の都の次期女王となる運命にあった者。この命、そしてヴォグデイの意思はいかなる時も天空の都と共にあります。」
まだ14歳と非常に若くして自分の生まれ育った地を破壊され、父母を目の前で亡くしたのにも関わらずそれでも彼女の横顔には迷いも躊躇いも何一つとして暗い感情など映されていなかった。ファルトは悟った、この小さな背中に与えられた重すぎる、大きすぎる重圧を。きっとまだ母や父に甘えたかったはずだ。それなのにこうして表舞台に立ち自らの命を献上しようとしている。その瞳にはきっと責任の他にも自らの運命を、死を、静かに感じ取っていたのであろう。
「アシャータ姫、、ならばこのファルトも最後を共に迎えようぞ。あなたを1人にはさせない。」
ファルトは悲しそうな眼差しをアシャータに向け、そっと彼女の頬を撫でた。
「ありがとう、ファルト。」
アシャータの目に涙が宿る。刹那、赤黒い光がアシャータを包む。
「アシャータ姫!」
ファルトは必死にその光を引き剥がそうとするが、何をしても無駄であった。
「残念だが、この女は俺らのマスターである不死者の王のお気に入りだったのでな、貰っていくぜおっさん。」
赤く鋭い眼光を彼に向けながらアシャータを抱えた吸血鬼が唾を吹きかける。
そしてファルトに薄黒い魔法陣を放った。
「アシャータ姫ぇぇぇぇ!」
ファルトが原因不明の頭痛に苦しみながらも絶望を含んだ絶叫が木霊する中で、天空の都は赤黒く不気味な炎に包まれる。意識が朦朧とする中、アシャータは神通力を通して謎の青年の影を見た。
(あとは、頼みました。)
吸血鬼の傍に抱えられながら彼女は気を失う。こうして4大遺跡の1つである天空の都は吸血鬼の軍生により落とされたのであった。