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『わ、わかった。じゃ、添い寝、頑張るね』
なんでも真面目な先生は、添い寝も頑張ってくれると言ってくれた。
食事を終え、先生がベッドに来てくれるのを心待ちにした。
暴れん坊君が変なことにならないようにだけ、気を付けなきゃ。今、そういう関係になっちゃうのは、やっぱり先生を傷つけちゃうから。
用意ができた先生が僕の部屋に現れた。
ふぁあ あぁ ぁあ―――――!
女 神 降 臨 ! ! ! !
僕と同じお揃いのガウン!
湯上り美人!
昨日と違って先生、起きている!
湯上りのしっとりとした髪に、紅潮した頬。艶のある小ぶりの唇。ああ…その唇に吸い込まれそう…。
やばい。どうしよう。自制心がきかなくなったらシャレにならない。
なんかもう、いろいろテンパる……。添い寝希望ってもしかして自虐行為だった!?
『お、お邪魔します……』
『どうぞ』
ちょっと距離が遠い気がして、思わず先生を抱きしめた。
どっくどっくと脈が速い。だめだ…いい匂いがする。先生の匂い……。お日様のような、柔らかくて優しい匂い…。
あああっ!
パニックになるぅぅぅ!
『昔はよく一緒に寝たね。先生、覚えてる?』
冷静を装い、僕はなんてことのない余裕の男を演じた。しかし本心は目の前の先生が綺麗すぎてどうしていいのかわからない。
自分で言い出したことなのに、早くも後悔していた。我慢できるのか、僕……。
『も、もちろん。忘れたことなんかないよ。ずっと、睦月君がどうしていたのか、心配だった。元気で暮らしていて欲しいって思っていたよ』
『先生……』
嬉しい言葉を聞いて、更に抱きしめてしまった。僕は今、大人の男。子供の時と違って余裕のある男。演じろ、先生を傷つけたりしないように、全力で理性を保て!!
欲望に負けたら、親密度が取り返しのつかない大・大・大暴落が待っているぞ!!!!
そんなことになったら、もう二度と取り戻すことはできない。
そうだ。水島対策はしておかなきゃいけないな。潤に教えてもらったんだ。『キスマークを付けると他の男避けになるぞ』、と。キスマークは確か、首筋のよく見えるところをうっ血するくらい強く吸うんだったな。よし、やろう!
『お休みのキス、しよっか』
『えっ……』
『だめ?』
『だ……ダメじゃない……ひゃんっ』
お休みのキスに乗じてキスマークを付けることにした。
『んっ』
先生――ッッ!
そんな色っぽい声出さないで!
僕、必死に瀬戸際で耐えているんだ。チャートで言うなら、ドン底の割ったらいけない暴落スレスレのデッドラインで、攻防を繰り広げている感じだ!!
無心で先生の首筋を吸うと、なんとか赤い跡を付けることに成功した。
ああもうこれ以上は危険。離れよう。
『できた』
先生は顔を真っ赤にして僕を見つめる。やめて先生。僕の理性を奪っていかないで……。
『お休み、先生』
ぐっと欲望を抑え込み、先生の額にチュッ、と軽いキスを落として離れた。
ああ…欲望に打ち勝った! 今日は…親密度が暴落せず耐えたぁぁぁぁ!!
でもギリギリでやばかった!
視線を感じたので先生を見ると目が合った。
『眠れない?』
『ええ。ちょっと……意識がある状態で添い寝なんて、緊張するから……』
やっぱり無理させちゃったかな。ちょっとやりすぎたかも。反省。
『だったら先生、少しお喋りする?』
お喋りしていたら変な気も起きなくなるかもしれない。
『ええ。睦月君が今までどうしていたのか、よかったら教えて欲しいな』
『8年は長かったよね。僕、先生にずっと会いたいって思っていたんだ』
『私もだよ。風の噂で天川家が夜逃げしたって聞いて、もう睦月君に会えないのかと思ったら…すごく、悲しかった』
『先生、ありがとう。心配してくれて』
先生は僕のことを忘れたりしていなかった。すごく嬉しい言葉をもらった。
『だって…睦月君と私はもう家族じゃない。いなくなったら悲しいよ』
先生にとって、やっぱり僕は家族なんだね。
いつまでたっても、弟というポジションからは抜け出せないのかな。
だからいまだに先生って呼んじゃうんだよな。僕のこと、男としてもっと意識して欲しい。
『……そうだね。もう、どこにも行かないから。先生を置いて行ったりしない。だから先生も、僕を置いて行かないでね』
『約束』
先生と約束を交わした。
僕はもう昔のようなチカラのない子供とは違う。7歳という年の差は埋められないけれど、先生を困難や悪いヤツ等から守ることはできる。
それに、傍にいてプロポーズを続けていれば、仕事を抜きにした、純粋に僕と男女関係を結んでもいいと思ってくれるかもしれない。先生に好きになってもらえるように、頑張ろう――……
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