テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
部室の隅で、落ちたテーピングの切れ端を拾おうとかがんだ時やった。ふと顔を上げた視線の先に、オレは北さんを捉えた。
北さんは、ロッカーの扉を閉めるところやったんか、手がまだ取っ手に触れたまま、微動だにせんとオレを見下ろしていた。練習着のTシャツは汗で少し肌に貼りつき、鍛えられた肩のラインがくっきりと浮かび上がっとる。
目が合った瞬間、胸の奥がズキン、と鳴った。痛い、というのとは違う。もっとこう、体の真ん中を、電流が走ったような。――いや、これ、もしかして、ときめいた、んやろか。
そのあまりにも唐突な感覚に、一瞬、呼吸すら忘れた。北さんは何も言わん。ただ、あの、一切の感情を読み取らせない、それでいて吸い込まれそうな瞳で、オレをじっと見つめとる。
無言で見つめ返してくる北さんを、オレは上から下まで、ゆっくりと視線で辿った。
部活後で火照った身体からは、微かに熱気が立ち上っとるように見えた。首筋に伝う汗の粒が、喉仏の隆起をなぞって、Tシャツの襟元へと消えていく。そして、薄く開いた、潤んだような艶やかな唇。それが、あまりにも色っぽくて。
普段は感情を表に出さん北さんの、その静けさの奥に潜む色香が、この誰もいない部室で、一気にオレの五感を支配した。体が、喉が、乾いていくのが分かった。
「 ….なんや、ジロジロ見て 」
静かな、けれど有無を言わさぬ声が、部室の空気に響いた。北さんの声はいつも通り落ち着いとるのに、オレの耳にはやけに甘く響いた。
「 いや…北さん、練習の後って、めちゃくちゃ色っぽいんやなって 」
自分で口にしといて、少し後悔した。こんな直球な言葉、北さんは嫌がるんやないか。けど、もう引き返せへん。本能が、そう言わせとった。
北さんは、フッと、微かに口角を上げた。それは、嘲笑とも、呆れとも取れない、北さん特有の、掴みどころのない笑みやった。
「 汗かいただけや。色気なんて出とらん 」
「 出てますよ。めちゃくちゃ。オレにはそう見えます 」
一歩、二歩と、無意識に北さんの方へ足が動いとった。北さんは動かん。ただ、オレの接近を許しとるように、そこにおった。
「 侑、片付けは終わったんか 」
「 まだですけど….. 」
北さんの目が、僅かに細められた。それは、規律を重んじる主将としての視線。けれど、その奥に、どこか別の感情が揺らいでいるのを、オレは見逃さなかった。
「 オレ….もう我慢できひんっすよ? 」
喉から絞り出した声は、自分でも驚くほど震えとった。これ以上、この空間で北さんの色香に当てられとったら、何をしでかすか分からん。理性と本能が、ギリギリのところで綱引きしとる。
北さんは、オレの言葉を聞いても、すぐに反応はしなかった。ただ、その瞳が、一層深く、オレを捉え続けた。そして、ゆっくりと、その手がロッカーの取っ手から離れ、宙を彷徨い……。
ゆっくりと宙を彷徨っていた北の手が、意を決したように上がり、宮侑の頬に触れた。ひやりとした感触が、火照った宮侑の肌に心地よい。そのまま、北の親指が、宮侑の唇の輪郭を優しくなぞる。その指先の微かな動きだけで、宮侑の全身が粟立った。
「 ……侑 」
掠れた声で、北が名を呼んだ。それは、普段の厳しさとは異なる、どこか熱を帯びた響きだった。
次の瞬間、北は自ら宮侑の唇に顔を寄せた。触れるか触れないかというほどの距離で、熱い吐息が混じり合う。宮侑は息を呑み、北の次の行動を見守った。
そして、遂に二つの唇が重なり合った。
最初は、鳥の羽が触れるような、遠慮がちなキスだった。しかし、宮侑の喉から漏れた小さな嗚咽にも似た声が、その均衡を破る。飢えた獣のように、宮侑は北の首筋に手を回し、その引き締まった背中に指を食い込ませる。
北の唇は、見た目と同じく、柔らかく、そして温かかった。宮侑は、その唇を食い破るかのように深く吸い上げ、舌を絡ませた。汗のしょっぱさと、北さん自身の甘いような匂いが、脳髄を痺れさせる。
「 ん….っ 」
北の口から、微かな吐息が漏れた。その細い腰を抱き寄せ、さらに体重を預ける。部室の壁に、ドスッ、と鈍い音が響いた。
「 北さん..っ 」
キスをしながら、宮侑は貪るように北の身体を探った。練習着のTシャツ越しに、鍛え抜かれた胸板の硬さや、背中の筋肉の隆起を感じ取る。北は抵抗しない。ただ、宮侑のキスを受け入れ、その熱に応えるように、ゆっくりと腕を宮侑の首に回し返した。
唇が離れ、銀色の唾液の糸が二人の間に揺れる。呼吸を整える間もなく、宮侑は北の身体を押し倒した。ロッカーの扉に背中を打ち付けられ、北の表情に一瞬だけ苦痛が走ったが、すぐにその瞳は宮侑を真っ直ぐに見据えた。
部室の床に散らばったシューズやタオルが、二人の身体の下で軋む。けれど、そんなことはどうでもよかった。宮侑の意識は、目の前で息を弾ませる北信介の全てに集中していた。
「 侑…..何するつもりや 」
北の声は、微かに掠れていた。問い詰めるようでいて、どこか挑戦的な響きも含まれていた。その瞳の奥には、理性の光と、未知への期待のようなものが同時に宿っていた。
宮侑は、北の顎を掴み、再び唇を塞いだ。今度は、もっと深く、もっと激しく。練習後の火照った身体が、互いの体温を求め合い、部室の空気を急速に熱していく。
北のTシャツの裾に手を滑り込ませると、汗でしっとりとした肌の感触が指先に伝わった。鍛えられた腹筋の硬さに、ゾクっと体が震える。北は小さく息を呑んだが、その身体は宮侑の手を受け入れた。宮侑は躊躇なくTシャツを捲り上げ、北の引き締まった胴体に顔を埋めた。
「 んん…っ、侑…..! 」
熱い唇が、北の肌を這う。首筋から鎖骨、そして胸板へと、宮侑のキスが降り注いだ。北の身体が、弓なりに反り、小さな呻き声が部室に漏れる。普段は決して見せない、北信介の剥き出しの反応に、宮侑の欲望はさらに煽られた。
宮侑は、北の腰に手を回し、ゆっくりとズボンに手をかけた。北の息がさらに乱れるのが分かる。
「 北さん… 」
宮侑は、北の耳元に顔を寄せ、囁いた。その声は、甘く、そしてどこか懇願するように響いた。
「 もっと、オレに乱されてください…. 」
北は答えなかった。ただ、その手は宮侑の髪を掴み、さらに深く、自分へと引き寄せた。それは、拒絶ではなく、むしろ更なる誘いのようだった。部室に満ちる熱気と、二人の吐息が絡み合い、互いの理性を溶かしていく。
宮侑の指が、北のジャージの裾を掴み、そのまま無理矢理、その身体から剥ぎ取った。汗で肌に張り付いていた生地が、ベリベリと音を立てて剥がされ、引き締まった上体が露わになる。ロッカーの冷たい金属の感触と、宮侑の熱い身体が交互に北を襲い、その肌に粟を生じさせた。
「 っぁ、!あつむっ、いややっ..!オレ男…. 」
北の声が、掠れて響いた。その瞳は潤み、理性で縛りつけていたはずの感情が、決壊寸前のダムのように揺れている。普段の毅然とした北信介からは想像もつかない、弱々しく、それでいて抗い難い響きが、宮侑の耳を打った。
「 男やからええんすよ、北さん 」
宮侑は、その切実な声すらも、自らの欲望の燃料に変えた。北の震える唇に再びキスを落とすと、その震えを吸い取るかのように深く舌を絡ませた。
そのまま、宮侑は北のズボンに手をかけ、一気に引き下ろした。露わになった白い肌に、部室の僅かな光が反射する。北は、恥ずかしさに身をよじったが、宮侑の力強い腕に抱きしめられ、逃れることはできない。
宮侑は、北の腰を抱き上げ、ロッカーの冷たい壁に押し付けた。北の足が、宙に浮き、宮侑の腰に絡みつく。互いの熱い部分が、布越しに触れ合い、二人から同時に熱い息が漏れた。
「 北さん… 」
宮侑は、北の耳元で囁き、その喉仏に吸い付いた。北の身体が、宮侑の吸い付く場所に合わせて、びくりと震える。
「 オレ、あんたのこと、ずっと…. 」
言葉は途切れ途切れになったが、その想いは、行為を通して北に深く伝わっていく。北の指が、宮侑の髪を掻き抱き、その背中には、宮侑の爪の跡が深く刻まれていった。
宮侑の指が、北の下着のゴムに食い込み、躊躇なく引き下ろした。完全に露わになった北の秘部に、宮侑の視線が注がれる。そこには、練習後の熱を帯びた、半勃ちのそれが横たわっていた。普段の完璧な北信介からは想像もつかない、無防備で生々しい姿に、宮侑の理性の箍は完全に外れた。
「 綺麗や..北さん 」
宮侑は、熱い息を吐きながら、その秘部に唇を寄せた。北の身体が、電流に打たれたように硬直する。
「 やめっ….あつむ、そこは..っ 」
北の声は、もはやか細い喘ぎになっていた。しかし、宮侑は止まらない。舌先で優しく先端を舐め上げると、北の全身から、堪えきれない震えが走り抜けた。
「 んんっ….ああ..っ 」
北の腰が、勝手に揺れ始める。宮侑は、さらに深く、北の最も敏感な場所を舌と唇で貪った。普段の冷静沈着な北信介が、情欲に身を捩る姿は、宮侑にとって何よりも甘美な光景だった。
指が、北の太腿を這い、その付け根へと滑り込む。北の身体は、完全に宮侑の支配下にあった。
「 北さん、もう限界やろ? 」
宮侑の問いかけに、北は答えられない。ただ、呼吸を乱し、宮侑の肩を必死に掴むだけだった。
宮侑は、自身も熱を帯びた下着を乱暴に引き剥がし、北の股間に自らのものを押し付けた。熱い皮膚と皮膚が触れ合い、二人の股間から、甘いような、鉄のような匂いが立ち上った。
「 ..っ、あ…あつむ…… 」
北の瞳は、潤み、焦点が定まらない。宮侑は、北の股を開かせ、その身体の奥へと、ゆっくりと、けれど確かな意志を持って侵入していった。