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#アニメ
大野福🌕🪽
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僕の毎日は、ただ静かに、そして退屈に過ぎ去っていくだけだった。
特別やりたいこともなく、将来の夢もない。ただなんとなく学校へ行き、なんとなく家に帰る。16歳の夏だというのに、僕の世界はモノクロのフィルムのように色を失っていた。
ただひとつ、僕のグレーな日常の中で、鮮やかに光を放っている存在を除いては。
…今日も、たくさんの人に囲まれているな
教室の窓際、自分の席から視線を送る。
クラスの中心で、大きな身振り手張りを交えながら楽しそうに話している——天馬司。
学級委員や自治会活動を精力的にこなし、どんなイベントにも全力で取り組む彼は、クラス……いや、学校中の人気者だった。
彼が笑うと、周りの空気までパッと明るくなる。僕とは正反対の、太陽のような人。
「同じクラスのクラスメイト」という肩書きはあるけれど、僕たちが言葉を交わしたことは片手で数えるほどしかない。人気者の彼と、目立たない僕。住む世界が違いすぎて、話しかけるきっかけすら掴めないのだ。
無意識に彼を目で追ってしまう自分に苦笑しながら、僕は引き出しの中にある「ある紙」をそっと指で撫でた。
先日の夏祭りで見た、あの圧倒的な太鼓の演奏。
汗を散らしながら楽しそうにバチを振るう司くんの姿が忘れられなくて、僕は吸い寄せられるように、彼が所属する地域自治会の「夏祭り・太鼓打ち手募集」の紙に名前を書いてしまったのだ。
(……僕なんかが行っても、邪魔になるだけかもしれないけれど)
それでも、あの熱量に少しでも触れてみたかった。
放課後。
指定された地域の公民館へと足を運ぶ。
重い防音扉を開けると、そこにはすでに何人かの参加者と、数台の大きな和太鼓が置かれていた。
ひやりとしたクーラーの風と、仄かに匂う木と畳の香り。
緊張で立ち尽くしていると、奥から威勢の良い声が響いた。
「おお! よく来てくれたな、神代!!」
パッと花が咲くような満面の笑顔で、こちらへ駆け寄ってきたのは司くんだった。
「つ……司くん……?」
「あぁ! 同じクラスの神代だろ? 正直、お前が参加してくれるとは思っていなくて驚いたが、めちゃくちゃ嬉しいぞ! 歓迎する!!」
そう言って、司くんは僕の肩をぽんと力強く叩いた。
あまりの距離の近さと、屈託のない笑顔に、心臓が跳ね上がる。彼は僕の名前を覚えていてくれたのだ。それだけで、胸の奥が熱くなる。
「さあ、早速だがレッスンスタートだ! 未経験でも俺がビシバシ教えてやるから、安心してついてきてくれよな!」
「あ……うん。よろしくお願いします……!」
練習が始まると、司くんは教え方も全力だった。
「まずはバチの持ち方だ! 腕の力を抜いて、太鼓の中心を射抜くイメージで……こうだ!ドドンッ!!」
目の前で鳴らされる迫力ある音と、真剣そのものの眼差し。
周りの参加者たちが「天馬くん教えるの上手いな〜」と笑う中、僕は必死で彼の動きを目に焼き付けた。
教えられた通りにバチを振り下ろすと、カッと乾いた軽い音が響く。
「惜しい! だが筋がいいぞ神代! その調子だ!」
司くんに褒められるたび、心の奥底で眠っていた何かが目を覚ましていく感覚がした。
ただ流れていくだけだった僕の人生に、初めて「熱」が宿った瞬間だった。
「よし! 今日の練習はここまで! みんなお疲れ様だったなー!」
時計の針が午後7時を回る頃、司くんの号令で全体の練習は終了した。
参加者たちは汗を拭いながら、「お腹すいたー」「また明日ね」と雑談を交わしながら帰路につく。
けれど、僕は帰ることができなかった。
みんなが綺麗に鳴らせているリズムが、僕だけどうしても納得のいく音にならない。
せっかく司くんが時間を割いて教えてくれたのに、このまま妥協して帰るなんて嫌だった。
「……もう少しだけ」
静まり返った公民館。みんなが去り、クーラーの稼働音だけが響く部屋で、僕は再びバチを握り直した。
鏡に向かい、自分のフォームを確認する。
司くんの腕の角度、腰の落とし方、バチが太鼓に当たる瞬間の軌道——頭の中で何度も彼の姿を再生しながら、一打一打、丁寧に振り下ろす。
〜〜ー…〜〜ー!!!
手のひらにマメができ、汗が目に入って沁みる。腕が重く痺れてくる。
けれど、やめられなかった。
少しでも彼が見ている世界に近づきたくて、必死で太鼓と向き合い続けた。
どれくらいの時間が経っただろう。
ガラッ……!
「………すみません! 忘れ物を——」
防音扉が開き、息を切らせた誰かが飛び込んできた。
手に持っていたタオルを手に、驚いた顔で立ち尽くしているのは——司くんだった。
「か……神代……!?」
「え……? 司くん……?」
一瞬、お互いに時が止まったように固まる。
静かな部屋に、僕の荒い息遣いと、ポタポタと床に落ちる汗の音だけが響いていた。
コメント
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うわー、続きがすごく気になる……! 主人公が一人で練習に没頭するところ、めっちゃ刺さった。司くんに見つかっちゃうシーン、ドキドキした。あの静かな部屋に汗の音だけ響く感じ、映像が浮かぶようだった。主人公の「熱」が伝わってきて、応援したくなる。次回、どうなるんだろう……!