使われていない空き教室で僕は恋人に迫られる。
「ね〜ね〜小エビちゃん。俺達付き合ってまだキスしかしてないじゃん、そろそろシよ〜よ〜」
付き合って1ヶ月と短い交際期間の恋人フロイド先輩は僕に抱きつき、すりすりと首筋に擦り寄る。
「だ、ダメですって!僕達にはまだ早いって……あ、こらっだめ……!」
ちゅ、ちゅ、と先輩の唇は首筋に落とされ、191センチもある大きな体に組み敷かれる。当然フロイド先輩のように魔法や筋力がない僕は彼に抗えず身を捩る。
「あはぁ〜……小エビちゃん、顔真っ赤だよ?体も捩って本当にエビみたい」
「もうっからかわないでくださいよ!むぅ〜〜っ!」
困って唸っていると頭上から「いてっ」と先輩の声が聞こえる。何が起きたか分からなくてそちらに顔を向けると不機嫌そうな先輩の顔が目に入る。
「って〜〜……ジェイド邪魔しないでよいいところなんだから」
「そろそろ離してあげなさいフロイド。誰かに見られたら困るのは貴方がたですし、何より監督生さんが苦しそうです」
「ちぇっ……俺は別に見られても平気だけど小エビちゃんが困るのはヤダ」
どうやら通りがかったジェイド先輩がフロイド先輩を小突いたようで、フロイド先輩は渋々ながら僕から退く。
「ジェイド先輩助かりました……」
「貴方も貴方ですよ?抵抗くらい出来ないとこんな風に、食べられちゃいますから」
ジェイド先輩はため息を吐きながら僕に顔を近づけ、啄むようなキスをする。
「!?」
「はっ……は〜〜〜っ!?ジェイド何してんの!?俺の小エビちゃんなんだけど!!」
「フフフ、監督生さんを独占したいならまず僕にも警戒しないとダメですよ?」
フロイド先輩はジェイド先輩を威嚇するように睨んで僕を抱きしめる。
「ジェイドのバカ!小エビちゃんも嫌がってよ何受け入れてんの!」
「いやだって一瞬の事で無理ですよ!」
「む……じゃあ上書きする。キスまでならいーんでしょ?」
そう言ってフロイド先輩は体を密着させたまま僕の顔を上に向かせ、先程のキスをかき消すように唇を奪う。先輩は舌も口内に侵入させて上顎をなぞったりと蹂躙し、僕は息をするので精一杯だった。
「ふ、あっ……」
「まだエッチがダメでも、その気になったらすぐ言ってね?優しくしてあげるから」
「〜〜っ!!絶対言いません!」
「やれやれ、今度はちゃんと寮の部屋でしてくださいね?」
ジェイド先輩はため息を吐きながらも笑って僕たちを見つめる。
もうやだこの兄弟……
終
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