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『しんちゃんが突然モテ始めた日、風間君の心がざわついた』
翌週。
学校がざわついていた。
「ねぇ、聞いた!?
1年の子がしんちゃんに告白したんだって!」
「しかも断られてなかったらしいよ〜!」
風間君の背筋がピタッと固まる。
「……は……?しんちゃんが……告白……?」
嫌な予感を胸に抱えながら、
風間君は校庭でしんのすけを探す。
そして——見つけた。
女子たちに囲まれて笑っているしんのすけを。
「しんちゃん先輩〜!次は私と写真撮ってください!」
「え〜?順番待ちだゾぉ〜」
(な、なにあれ……!?
人気者……?なんで急に……!!)
胸がぎゅっとなる。
息が苦しい。
(……もしかして……誰かに取られる……?
そんなの……嫌……)
そう思っていたら、しんのすけが風間君を見つけた。
「お、風間君〜!」
たったそれだけで女子たちがどよめく。
「えっ……しんちゃん先輩の“風間君”!?
いつも隣いる人……!」
「もしかして……本命……?」
「えっカップル……?」
一瞬で噂が広がる。
風間君は顔が真っ赤になり、
「ち、違……っ!違うから!!」
しんのすけは楽しそうに肩を寄せる。
「ん〜?違うゾ?ねぇ風間君?」
「近い!!だめ!!女子の前で……!!」
「じゃあいつならいいの?」
「そ、それは……っ……」
返せない。
返したら終わる気がした。
しんのすけはくすっと笑い、耳元で言う。
「風間君。
オレが誰にモテても、風間君のは特別だから安心するゾ」
(……っ、……もう……やだ……!
そんなの……)
風間君は顔を覆って座り込んだ。
胸の奥が甘くて、苦しくて、
でもどうしようもなく嬉しい。
——しんちゃんは誰にでも優しい。
でも、“特別”だけは自分に向けられている。
その確信が、
風間君をまたひとつ恋に近づけた。