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【米将軍side】
雨栗への想いに気づいてしまった数日後、俺はまたしても頭を抱えていた。
「俺にどうしろってんだよ……!」
蓋をしようと決意したものの、好きだという気持ちは予想を上回る急成長を遂げ、ついに隠しきれないところまで大きくなってしまった。
どうにかしなくてはと毎晩頭を悩ませた結果、無事寝不足の象徴を手に入れてしまい、雨栗にはしこたま叱られた。
当の本人と言えば、自分への好意には鈍感なため、何とか首の皮一枚繋がっているものの。
どう見ても好きな人がいる相手を、さらに言えば同性でメンバーの人間を好きになってしまった。
恋愛というものから離れてしまった人間にとって、こんな状況はハードモードが過ぎると思うのだが。
もういっその事、その好きな人と結ばれてしまえば諦めもつくだろうと、撮影の合間に雨栗にそれとなく恋愛トークをふってみれば
「え?気になってる女の人?……うーん、今はこめしょー……たちと一緒にいるのが楽しいから、あんまり考えてなかったかも」
本気でそう思っていますという雰囲気で返ってきてしまい、逆に照れくさくなって話題を切り替えてしまった。
ぐるぐると普段使わない思考回路が激しく回っている気がして、とりあえず水でも飲もうと勢いよく立ち上がった瞬間。
(……あ?)
視界が一回転、一瞬の痛みと共に俺の意識はブラックアウトした。
【雨栗side】
(気になってる女の人……ねえ……)
こめしょーから恋バナみたいな話題が振られたことに焦り、一瞬こめしょーが好きだから気にしたことないと口を滑らせかけたのを、慌てて別の内容に切りかえたが変ではなかっただろうか……。
内心でだらだらと冷や汗をかいていれば、モニター越しにガシャン!!!!と大きな音が聞こえ思わず大丈夫!?と声が出た。
いつもなら少したったあと、何かしらの応答があるのだが、今はシンと静まり返っている。
『こめしょー?』
いつまで経っても返事がない。LINEを送っても返ってくる様子がなく、別の意味で冷や汗が垂れる。
この前のコラボで東京に残っており、今泊まっているホテルからこめしょーの家まで割と近いことに気づいた私は、慌てて身支度を済ませ、飛び出すように家を出た。
《ピンポーン》
呼び鈴を鳴らすも返答なし。
これはさすがにまずいぞと焦りが生まれる。
『合鍵、ええと、確かここに……』
俺が寝坊したらこれで起こしてくれ〜笑
と冗談交じりに渡された鍵を取り出しロックを解除する。
物音一つしない部屋に推測が確信に変わる。
やはりあの音は倒れた音だろう。
だとしたらなんで。
最近隈が酷いと、しっかり寝て体調を治せと叱ったばかりなのに。
『こめしょー、入るよ』
配信に使用しているであろう部屋の扉を開けて目に入った光景に、俺は血の気が引くのを感じた。
『っこめしょー!』
駆け寄って怪我がないか確認する。
パソコンのすぐ側で倒れている彼は、目立った傷は無いものの酷く熱を持っていた。
『なんでこんなになるまで言わなかったの……!こめしょーのばか!!』
「……関西の人間に向かって、バカはまずい……」
うっすら目を開いた彼が発した一言に思わず『今言うことそれ!?』と突っ込んでしまった私は悪くないと思う。