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図書室から教室に行くと、晶達が揃っていた。

「よお!裕……」

みんな俺の顔を見る。

「ちょっとそれどうしたん?」

志穂が顔にできた擦り傷を見ながら聞いてきた。

「ああ、これ。バイト先だよ」

俺がクラブで用心棒みたいなことをしているのは、みんな知っている。

「ふえ~まさか裕に一発いれる奴がいるとはねえ~。誰よ?」

「なんかヤベエ奴だったの?」

清助と正美が聞いてきた。

「さあな。見たことねえ奴だよ。暗がりだしな」

あんな奴に追われて由利奈のやつは大丈夫なのか?

とてもじゃねえが、女一人で捌ける相手じゃねえぞ。

由利奈は自分では大丈夫と言っていたが、そうは思えなかった。

「そうだ!裕の傷で忘れてた!」

志穂が手をパチンと叩いた。

「ねえ!八坂が例の病気に感染したみたいなの!」

「えっ!」

「マジかよ!?」

「うん。朝イチで友達からLINEきてさ」

志穂は顔が広い。

この街のヤンキーからギャルまで知らない奴はいないくらいの有名人だ。

「ナンパした女とやった後にそのまま寝ちって、それっきり起き上がれなくなったみたいよ」

「随分幸せな話しじゃねーか」

「八坂の後輩連中も陰ではそう言って笑ってるよ」

「跡目はどうすんだよ?」

「う~ん。解散かもって噂」

……

「あの八坂がねえ……」

八坂をぶっ飛ばしたのは一昨日だ。

自分の拳に視線を落とした。

「気にするなよ裕。おまえは関係ねーよ」

晶が察したように肩を叩く。

「そうそう。いくらゴツいパンチを叩きこもうと、感染症?には関係ねーって」

「そうだな。正美」

「複雑骨折なら裕のせいだけどな」

自分の顎のあたりを叩きながら清助が笑う。

「サンキュー清助」

冗談に俺の気も楽になった。

俺だって原因不明の病気がケンカに関係があるとは思えねえ。

だが、あんまりいい気分じゃなかった。

殴った相手が次の日には病気で寝たきりなんて。

頭じゃわかっていてもな……

始業のチャイムが鳴ると、ざわつきながらみんな席に着く。

ガラガラ…

チャイムと同時に由利奈が入ってきた。

「おおー!由利奈ちゃん!おはよー!!」

清助が大声で挨拶すると、照れくさそうに笑いながら席に着いた。

座ると俺と目が合う。

一瞬、微笑むと由利奈は視線を外してカバンから教科書やノートを取り出して机に入れた。

俺も視線を窓の外に向ける。

なんか変わってるよな。

こいつ。

さっきの図書室での会話を思い出しながら思った。

放課後。

いつものように屋上に屯する。

「晶、ちょっといいか?」

「ん?」

「回し蹴りっつうの?この辺狙うやつ」

こめかみを指差しながら話す。

「それを俺にやってみてくれ」

「あ?どうしたんだよ?裕」

「ちょっと気になってな」

「ふうん。いいぜ」

正美と清助はタバコを吸いながら見ている。

「いくぜ」

「おお」

ビュオッ!!

風を切って鋭い蹴りが側頭部の手前で寸止めされた。

「例えばこれがフェイントで、本命は腹だったらどうやる?」

「こうだな」

脚を引き戻すと晶は上段の軌道からストンと落として腹の前で止めた。

違うな……

昨日の奴の蹴りは直前まで視界に入ってた。

「もう少し目の前に来てから変化するとかできるのか?」

「できるけど、あまり目前でやるとスピードがのってるのが半減されるから意味ねえよ」

「そっか……」

「もしかして、その傷の相手か?」

「ああ。変な脚技使ってたからさ」

「ふうん……今後の参考になるかわかんねーけど、いいか?」

「おお」

「蹴りってのは、上・中・下と膝の入り方が違うんだよ」

「膝?」

「ああ。こんな感じ」

晶は上・中・下とうち分けながら解説した。

いつの間にか正美も清助も熱心に見ている。

ふうん……

膝か。

もしかして野郎がコートをいちいち翻してたのは膝を見せないためか?

「珍しいな。裕がこういうの聞くなんて」

「そうそう。今までは小手先の技なんて真正面からぶっ潰してたもんな」

「そんなヤバイやつかよ?」

ヤバイやつ……

「そうだな。あんなヤバイのは初めてだ。次に会うのが楽しみでしょうがねえ」

「嬉しそーにしやがって」

晶が呆れたように笑った。

搾りとり系サキュバスだって恋をする

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