スタジオの奥にある、防音室の扉が静かに閉じられた。
ピシッと密閉された空間。
まるで世界から切り離されたような無音の空間に、2人の息づかいだけが響く。
滉斗は椅子に腰かけ、静かに元貴を見上げた。
「……さっき言ってたでしょ。俺に見せてよ、って」
元貴は無言で頷くと、滉斗の視線の前で、ゆっくりとベルトに手をかけた。
ファスナーを下ろし、下着の中から熱を解放する。
滉斗の目が見開かれる。その視線を受けながら、元貴はためらわず自分に触れた。
「……こうやって、お前に触れながら……一人で」
ゆっくりと、指を上下させながら滉斗を見つめる。
照れや恥じらいは、もうそこにはなかった。
あるのは、ただ滉斗に“知ってほしい”という欲望と愛情。
「お前の寝顔が、あまりにも無防備すぎて……欲しくて仕方なかった」
元貴の吐息がだんだんと荒くなる。
それに比例するように、滉斗の胸も波打っていた。
「……バカだな、元貴。こんな姿、見られて興奮してんの?」
「…っ…うるさい……そういう言い方……っ」
「そういうとこ、可愛いよ。全部見ててあげるから、ちゃんと勃ってんのも隠すなよ」
「っ……もう、我慢できない……」
滉斗が立ち上がり、元貴の胸ぐらを引き寄せた。
次の瞬間、キスがぶつかるように交わされる。
舌が絡まり、呼吸が奪われ、互いの欲望だけが爆発した。
「……触れて、もっと……お前でおかしくなりたい……」
「いいよ、好きにしなよ。どうせ……外には聞こえないだろ?」
防音室の空気は、密閉された世界の中でじわじわと熱を帯びていた。
重ねた視線、触れた指先、くぐもった呼吸――すべてが次の瞬間を誘っていた。
すると滉斗の指先が、すぐ脇のラックに差してあるマイクケーブルへと伸びた。
「……なぁ、元貴。ちょっとこっち来て」
不穏な笑みを浮かべるその瞳に抗えず、元貴は言われるがまま、スタンドの前へと座らされる。
「え、ちょ……なに?」
次の瞬間、マイクケーブルがキュッと両手首に巻かれた。
柔らかいけれど強い力で、後ろ手にきつく結ばれる。
「滉斗……、お前、マジで何……」
「ほら、俺が何したって……抵抗できないね?」
その声は甘く囁くようで、でも底が見えないほど深い。
ふと、滉斗がマイク本体を手に取ると、スタジオのコンソールにつないだままの状態で、音を拾う準備を始めた。
「せっかくだし、このまま“歌って”もらおうかな」
「は?」
「ほら……元貴が作った、あの曲。“loneliness”――。」
to be continued…
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