TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


──クリニックの近くにある居酒屋の座敷席で、「先生と智香はお祝いだから、上座に座って」そう真梨奈に言われて、ちょっと緊張しつつ彼の隣にかしこまって座った。


「結婚おめでとうー乾杯!」


乾杯の音頭を取る真梨奈の声に、揃ってグラスを合わせた。


ビールの一口を飲んで、「それにしても……」と、松原女史が口を開く。


「先生はいつからお付き合いを? 全然知らなかったんですが……」


「知らないのは、松原さんだけでしたよ?」


森川さんがそう口にして、「えっ? じゃあ、あなたたちは知っていて?」と、驚いた顔つきになった。


「知ってましたよー。だって、先生もなんか雰囲気が変わって、意外とわかりやすかったでしょ?」


真梨奈が笑って言うのに、


「……雰囲気が前とはちょっと違う感じはしていたけれど、でもまさか先生が結婚だなんて……」


松原女史はまだ半信半疑な口ぶりで、政宗先生の顔を上目に窺った。


「ああーもしかして松原さん、先生が自分に気があるなんて思っちゃってたとか?」


お酒の入った真梨奈が茶化すように言うのを、


「そ…そんなわけないでしょう!」


と、松原さんが赤くなって否定をする。


「……ただ、政宗先生は結婚なんてしないようにも思ってたから……」


そうぼそりと呟いて、「あ…ごめんなさい! おめでたい席でこんな話をしたりして」と、口を押さえた。


「……私も、結婚などできないと思ってましたよ」


ウイスキーのロックを含んだ彼が、ふと口を開いて、


「……彼女と出会うまでは」


そう付け加えると、私に顔を向けて柔らかに微笑んだ……。


「責め恋」最終章 ーSecret gardenー「秘密の庭園」

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

17

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚