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「うわぁーあの鉄面皮みたいだった政宗先生が、デレてる! すごーい!」
真梨奈がびっくりしたように声を上げて、「もう智香ったらそんなに愛されてて、うらやましいくらいだから〜」と、笑いかける。
「ほら、もう一回みんなでおめでとうの乾杯しようよ?」そう口にして、グラスを掲げる真梨奈に、
「……ありがとう」
グラスを合わせ、はにかんで一言を伝えた。
「政宗先生も、おめでとうございます」
森川さんがグラスを手に微笑んで、彼が「ありがとう」と、メガネ越しに目を細めて自然な笑みをこぼした。
「…せ、先生、いつからそんなに穏やかに笑えるように?」
するとまた松原さんが驚いた顔になって、みんなで笑ってしまった。
彼の穏やかな笑顔が愛おしくも感じられて、これからもずっと大切にしていきたいな……と、
笑い声が賑やかに響く中で、しみじみと思っていた……。
……久しぶりにみんなで飲む楽しさについ酔ってしまい、「そろそろ帰りましょうか?」と、彼に声をかけられた頃には、足がふらつくようになっていた。
「酔っ払ってしまわれたんですか?」
「ごめんなさい。ちょっと飲みすぎちゃったかもしれないです……」
店を出て彼のマンションへの道を支えられるようにして歩きながら、申し訳ない気持ちで口にすると、
「いいえ、こうして君を抱えていると、初めて二人で飲んだ時のことが思い出されるようで」
彼にそう言われて、あのラウンジでの初デートのことが思い出されると、顔が一気に真っ赤になるのを覚えた。