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このお話は今の人には忘れられたとある少年少女の前世のお話です
「ゆのには弟ができるのよ」
寒さも厳しくなって来た頃、あたしはママに急に呼び出され、今のことを言われた
ゆの「え?あたしに弟?だってあたしの家は母子家庭で………」
母「お母さんね、再婚するの。だから再婚相手の息子がゆのの弟になるの」
ゆの「ふーん…」
正直、あたしは弟なんてどっちでもよかった
あたしには友達がいて、ママがいて、それだけでよかった
でも急に弟ができるなんて………
母「今日顔合わせしようと思うんだけどいい?」
ゆの「別にいいけど…」
あたしは正直言ってどっちでもよかった
でも「いや」なんて言ってママを傷つけたくなかった
だから了承した
ーー夕方ーー
母「今から出かけるわよ。ゆの、用意して」
ゆの「わかった…」
あたしは別に楽しみにしていたわけじゃないから最初、あまり気は乗らなかった
でも顔合わせ場所に到着すると、どんな子かくらいは気になってきた
母「お待たせしました。待ちましたか?」
母がだれかに話しかける
男性「いえ、僕も今来たところです」
男性のとなりにはあたしと同じくらいの背の、
生まれつきかわからないが右目のあたりに傷のある男の子がいる
男の子はあたしと同じく、黙ったままだ
男性「ここではなんですし、お店で話しましょう」
母「そうですね」
あたしたちはお店に入った…といってもただのファミレス
とりあえずあたしはジュースだけ頼んでおいた
母「ゆの、名前と学年、誕生日くらいは言いなさい」
母が耳打ちしてくる
ゆの「あたしはゆのです…。小学校5年生で誕生日は4月9日です…」
男性「4月か〜やっぱり響の方が弟だね。ちなみに響はゆのちゃんと同い年だから」
男の子の名前は響というらしいが………同い年⁈
ゆの「えっ………」
思わず声が漏れた
男性「初耳かな?」
ゆの「はい…」
母「私がちゃんと伝えなかったんです!ゆのには『弟』としか言ってなくて…」
男性「いいですよ、僕だって響にちゃんと伝えてなかったですし…」
男性は男の子に「ねぇ?」と言うような顔で響を見つめる
男性「ごめんねゆのちゃん、響は初対面の人と滅多に話さないから」
ゆの「別に大丈夫です…」
男性「ちなみにもう一つ、響は来週からゆのちゃんの学校に転校してくるよ」
ゆの「えっ…⁈」
母「彼らは今日から私たちの家に住むのよ」
あたしはなんで前より広い家に引っ越しをした理由がわかった
この人たちと住むからだ…!
ママが「校区は変わらないから」と言って事故物件でもボロくなったわけでもないのに
引っ越しをした。その理由はこれだったのかと今更気づいた
ーー家ーー
母「ゆのの隣の部屋でいいかしら?l
響「別に構いません」
母「ゆの!案内と響くんの荷物運びのお手伝い、お願いね」
ゆの「はーい…」
正直言ってめんどくさい…
一通り終わったら響があたしに口を開いた
響「ありがとう」
その一言だけでもかなり感謝されているのはわかった
ゆの「…別に、これからよろしく」
響「あぁ、よろしく」
男性「ゆのちゃん、ゆのちゃん」
ゆの「なんですか…?」
男性「ゆのちゃん響に何したの?
響があんなにすぐ打ち解けた子なんて今までいなかったんだけど…」
ゆの「わかりません…」
男性「響なりに相性がいいとでも思ったのかな…知らないけど、響と仲良くしてあげてね」
ゆの「はい…」
あたしはこの日、あまりにも衝撃的な出来事のせいで全然眠れなかった
だって………急にあたしに同い年の「弟」ができたんだから…