夜、スマホの画面だけが青白く光っていた。既読がつかないメッセージを何度も見返す。
「ごめん、今友達といるから後でね」
のあからのメッセージ。
それだけのことなのに、胸の奥がざわついて眠れない。
──友達って誰?
──どこで?
──笑ってるのかな、俺より楽しそうにしてるのかな。
考えたくないのに、頭の中でその光景が勝手に浮かぶ。
のあの笑顔。隣に誰かがいて、楽しそうに話している姿。
その誰かの顔は見えないのに、胸がぎゅっと締めつけられる。
「俺だけ見ててほしい…」
声にならない声が部屋にこぼれる。
誰にも聞かれない独り言。
スマホの画面に指を滑らせて、送らないメッセージを打つ。
『今どこにいるの?』『誰といるの?』『俺のこと考えてくれてる?』
全部打って、全部消して、ため息だけが残る。
のあのこと、信じてる。
優しい、可愛い、世界で一番大切な人。
でも、心の奥で、壊れそうなほどの不安が渦巻いてる。
その不安をぶつけたら、のあが離れてしまう気がして、怖い。
「好きだよ、のあ…」
ぽつりと呟く声が、夜の静けさに吸い込まれる。
その言葉はメッセージにはならず、ただ空気の中に消えていった。
胸の奥で、苦しいほどの愛情がゆうを締めつけ続けていた。
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