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────困惑。

今日はせっかくやめていたタバコにまた手を出し、荒い運転で帰宅した。

鞄を投げ捨て、上着を放り投げ、リビングを通り抜けてベランダへ出る。そして大きく息を吸った。


「なんっ……でそうなるんだ!」


叫び声が夜空にとける。両隣、上下の部屋にお住まいの方、聞こえたら本当にすみません。心の中で懺悔した。

でもおかげでスッキリした。喉は痛いが声出しはモヤモヤ解消に効果抜群だ。


「どっ、どうしたんです、准さん」


振り返ると、驚いた顔の涼が部屋の中から顔を覗かせていた。しかしこちらがなにか言う前に顔を青くし、戦きながら身を乗り出す。


「もしかして、前に仰ってた上司のモラハラですか!? 大丈夫です、准さん! 焦らずひとつひとつ記録して相談窓口へ行きましょう! 天罰覿面ですから心配しないで!」

「仕事は関係ない。ないけど、何で俺の周りには頭おかしい奴しかいないんだろう。お前も含めて、ほんと頭おかしい」

「えぇ。准さんは色々と気苦労が絶えないから、俺も惻隠の情を感じます。……が、それを他人に当たるのはどうかと。実は今、ボイスレコーダーで会話を録音していまして」

「嘘だろ?」

「嘘です」


外は少し冷えるから、室内に戻って窓を閉めた。

「それで、准さんは何にお怒りなんです?」

「……」

爽やかな顔で訊いてくる彼こそ、准にとって最も不可解な人物。涼は、今日も変わらない。


「……ちょっと、理解できないんだ。もっとマシな選択肢がいくらでもあるのに、一番最悪な選択をして納得してる奴らのことが」

「選択」


涼は温かい紅茶を二人分用意した。アールグレイの良い香り。でもいつもはコーヒーを淹れるのに、珍しい。


「ごめん、話がわかんないよな。えっと、怒ってたのは……友達っていうか、俺の従兄弟と、その恋人の話なんだけど」


説明……というより、これは相談になってしまうだろうか。話そうとしているのは、放っておけない彼らのこと。創も霧山も、お互い別に好きな人がいるのに結婚しようとしている。

「その二人は一見幸せそうだったんだけど、実は色々我慢してたらしくて」

家が大事なのはわかる。

世間の目も、それは容赦ない。だけど自分を騙してまで守らなきゃいけないものだろうか。

好きな人を騙して、好きでもない相手と一生を過ごせるのか。

もう一度だけ、彼らに考えてほしい。

それでも考えが変わらなかったら、その時は仕方ない。彼らの問題として、これからもずっと背負って、戦っていくことになるんだろう。



ファナティック・フレンド

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