テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
⚠️
赤さん胸オペ前
2018.1(大体)より前のもの
桃赤
スカイプでの音声通話だと捉えてください
🚨10日後、相互フォロー限定、タグ全て消します🚨
━━━━━━━━━━━━━━━
「俺、サラシとか巻くの疲れちゃってさ」
画面の奥で鼻を啜りながら話す莉犬。
声がいつもより震えてて、そうでいて、どこか吹っ切れたようでもあった。泣いてるんだと思う。
ここでなんて返せばいいんだろう。どう励ませばいいんだろう。
そう考えて黙り込んでしまう俺が、ひどく情けなかった。
「ごめんね。っひ、変な話して。きもいよね。ほんとごめん」
なんで莉犬が謝んないといけないんだよ。
かける言葉を必死に探すけど、どうにも頭が回らない。
ダサいな俺。
「んー、やっぱ通話終わりにする?もういい時間だし」
そんな逃げ道を莉犬自身で作ろうとしているのが、余計に苦しかった。
「俺、莉犬にきもいなんて一度も思ったことないよ」
ようやく声にできたその一言は、思っていたよりずっと頼りなかった。
自分の口から出た瞬間、あまりの言葉足らずに後悔した。
莉犬のアイコンの周りが途切れ途切れに光る。
微かに聞こえてくる泣き声。
画面越しのこの距離が、こんなにも歯がゆいなんて。
「ごめん、なんか全然うまく言えねぇや」
喉の奥に詰まった感情は、言葉になるには未熟すぎた。
励ますってこんなに難しかったか?
「よく頑張ってるよ」って、
「無理しなくていい」って、
何百回も言われてきたであろう綺麗ごとを、今更俺の口から言ったって、どれほど意味がある?
俺の声一つで、莉犬が壊れてしまうかもしれない。
けど、黙っていたらもっと届かない。
自分の語彙のなさが、悔しくて仕方なかった。
「….あのさ、莉犬」
静かに泣き続ける、莉犬を呼ぶ。
俺が震える声じゃ説得力がなくなる気がして、できるだけ平然を装った。
「苦しいなら、苦しいって言っていいんだよ。
誰かに頼ったって、カッコ悪くなんかないし…
俺は莉犬に頼られたい」
沈黙が怖くて、でも下手に言葉を挟めば、それすら嘘になりそうで。俺は、少しづつ、慎重に言葉を紡いだ。
「疲れたって言っていい。弱音も泣き言も、吐いていい。
俺、全部聞くから。逃げんなって言いたいんじゃない。…少なくとも、俺は莉犬の全部を受け止めたい」
「うっ…っぅ…ひぐっ…俺、自分の身体が大っ嫌いでさ…見る度に気持ち悪くてさ…」
息を呑むような声とともに、莉犬の震える嗚咽が電話越しに伝わる。
莉犬の今の苦しさなんて俺に分かるわけないのに、胸の奥が刺さるように痛かった。
「もう…疲れちゃった…」
無理して笑い混じりにそう吐いた莉犬。
今までどれだけ我慢していたのだろう。
毎日通話する度に莉犬が話していた学校での出来事とかも、全部が辛かったんじゃないか。普通じゃなかったんじゃないか。
「弱くていい。泣いてもいい。
俺はずっと、莉犬のそばにいるから」
「ありがとう..さとみくん」
掠れた声が、少しだけ強さを帯びて返ってきた。
まだ鼻を啜る音は聞こえるけど、さっきまでの泣きじゃくるような震えは、ほんの少し落ち着いてた。
「こっちこそ、話してくれてありがとな」
「….ほんとごめん.っ俺急に泣き出して….」
「まぁまぁ..さっ」
少し笑って話題を切り替える。
「次俺ん家来る時さ、楽な格好で来なよ。サラシとかいらんべ」
「、っそれ。見たいだけじゃん」
「は?ちげーし。誰もお前のなんか興味ありませーん」
「って言っていっつも下ネタしか喋らないよね」
「それはおめーもな」
「俺は清楚なの」
泣き腫らした声に、僅かな笑い。
その笑い声が聞けただけで俺はもう十分だった。
すぐに全てが解決するわけじゃない。
少しでも力を抜けられたならそれでいい。
「俺、なんか今頭ん中綺麗な言葉しかないわ」
「っふふ。でた賢者モード」
「誰が賢者だよ。使い方間違ってるやん。ま、明日学校なんやろ?はよ寝ろ」
「…うん」
「で、次の休み絶対家来いよ。明日は11時からな」
「….考えとく」
素直じゃない莉犬の返事に、ふっと笑って、
俺は「おやすみ」とだけ言って通話を切った。
通話終了の、ピロンと電子音。
心に残るのは、まだ消えきらない莉犬の泣き声と━━
最後の、笑い声だった。
━━━━━━━━━━━━━━━━
これを書くにあたって久しぶりにスカイプを調べたんですがサービス終了してました。とても悲しいです(泣)
なぜか親にLINEも禁止されてたし、mixiも禁止されてたので、ネッ友と話す唯一の手段が深夜のこっそりスカイプでした。。。(親はなぜスカイプを禁止しなかったのかは分かりません)