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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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 審判が時計をチラ見してる。試合終了が近い証だ。

 スコアはあいかわらず〇対一。だけど俺も由衣香も、そう簡単にはやられなくなってる。

 敵のフォワードが遠くから撃ったけど、うちのキーパーががっちりキャッチ。すぐにどかんと蹴り出した。

 俺はすばやく落下点に入った。場所はゴール・エリアの角のあたり。後ろの遊馬を感じつつ、得意の腿トラップで前を向いた。

 半身の遊馬はほとんど動かず、俺の動きをじぃっと見ている。だけどやっぱり、隙がほとんど見つからない。

「慶ちゃん! パース!」

 中に寄ってきた由衣香が、妙に自信満々に叫んだ。

 俺はそっちを軽く見てから、ダンッ! と左にステップを踏んだ。遊馬が一瞬びくっとしてから、反対側にボールを出した。

 遊馬は遅れず反応するけど、俺は逆に切り返した。間を空けずに左で触って、ゴールへ本気のダッシュを始める。

 ディフェンスが二人、フォローに来た。でも股がお留守になってる。

 俺はすかさず股抜き。きれいなパスが、裏に抜けた由衣香に渡った。ギリギリだけどオフサイドはなし。

 ワン・トラップした由衣香は、ふわっとボールを浮かせた。

 キーパーが真上にジャンプするけど、右手がちょっと当たるだけ。カンペキなループ・シュートが決まった。

 由衣香は一度、両手を挙げて飛び跳ねた。振り返るとすぐ、小走りで俺に近づいてくる。顔は、喜びいっぱいって感じだった。

 パチン! 俺は由衣香とハイ・タッチして、自陣へと引き返し始めた。なんとなくベンチを見ると、お父さんとお母さんが、喜んでるみたいな安心してるみたいな顔をしていた。

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