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38
夏海
57
#翠桃
るこら。
192
翠桃
本編伏せ字×
地雷さん🔙or自衛
キャラ崩壊大
ご本人様関係ありません
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分岐END③「ずっと一緒だよ」
目を覚ましたとき、俺は知らない部屋にいた。
桃「……え?」
見慣れない天井。
見慣れない家具。
窓の向こうには、知らない景色が広がっていた。
どうして、こんなところにいるんだろう。
昨日のことを思い出そうとする。
翠と話したこと。
帰り道のこと。
そして――。
桃「……すち?」
名前を呼んでも、返事はなかった。
スマホも見当たらない。
俺は部屋を見回した。
桃「……嘘だろ」
ドアに手をかける。
開かない。
何度確かめても、開かなかった。
桃「……っ、なんで……」
嫌な予感が、頭の中を駆け巡る。
まさか。
いや、そんなはずない。
だって、すちは幼なじみで。
ずっと一緒にいた、大切な友達で。
――俺を、こんな目に遭わせるはずがない。
そう思いたかった。
そのとき。
ガチャリ、と音がした。
ドアが開く。
そこに立っていたのは。
翠「……おはよう、らんらん」
いつもと変わらない、優しい笑顔だった。
桃「……すち」
翠「よかった。ちゃんと起きたんだね」
桃「……ここ、どこ?」
翠「俺たちの場所」
桃「……は?」
翠は不思議そうに首を傾げた。
翠「だって、らんらん。俺から離れたいって言ったでしょ?」
桃「……っ」
翠「だから、もう離れなくていい場所にしたんだ」
桃「何、言ってんの……?」
声が震えた。
翠は笑っている。
いつものように。
まるで、今日の天気でも話しているみたいに。
翠「もう大丈夫だよ」
桃「……帰して」
翠「……」
桃「すち、頼むから……帰してくれよ」
翠の笑顔が、ほんの少しだけ揺れた。
翠「……どうして?」
桃「どうしてって……! 俺、ここにいたくない!」
翠「……そっか」
翠は静かに目を伏せた。
翠「らんらんは、まだ俺と一緒にいたくないんだね」
桃「当たり前だろ……!」
言ってから、息が詰まった。
翠の表情から、笑顔が消えていた。
翠「……そっか」
もう一度、同じ言葉を繰り返す。
そして、ゆっくり顔を上げた。
翠「でも、俺は違うよ」
桃「……すち?」
翠「俺は、らんらんと一緒にいたい」
翠「ずっと前から、ずっとそう思ってた」
桃「……」
翠「らんらんが誰かと笑ってるのを見るのも、俺以外の人に相談してるのを見るのも、嫌だった」
翠「でも、らんらんが嫌がるから、ずっと我慢してたんだよ」
桃「……それは、我慢じゃない」
翠「……え?」
桃「俺の友達を遠ざけたり、俺の行動を勝手に決めたりするのは……違うだろ」
翠は黙った。
桃「俺は、すちのものじゃない」
その言葉を聞いた瞬間。
翠は、ひどく傷ついたような顔をした。
翠「……知ってるよ」
桃「……」
翠「らんらんが俺のものじゃないことくらい、分かってる」
翠「分かってるから……こんなに苦しいんだよ」
声が震えていた。
翠「俺だけを見てほしかった」
翠「俺だけを選んでほしかった」
翠「……らんらんの一番でいたかった」
桃「……すち」
翠「でも、らんらんは俺を選ばなかった」
翠は笑った。
泣きそうな顔で。
翠「だから、もう選ばなくていいようにしたんだ」
桃「……っ!」
背中が冷たくなった。
桃「……お前、何言ってるか分かってる?」
翠「うん」
桃「俺は帰りたいんだよ!」
翠「……うん」
桃「こんなの、友達がすることじゃない!」
翠「……分かってるよ」
分かっている。
自分が何をしたのか。
俺がどれほど怖がっているのか。
それでも、翠はここにいる。
俺の前で、優しく笑っている。
桃「……帰してよ」
翠「……ごめんね」
その謝罪は、あまりにも静かだった。
翠「でも、帰したら……らんらんはまた俺から離れちゃうでしょ?」
桃「……」
翠「また、俺の知らないところで笑うんでしょ?」
翠「また、俺じゃない誰かを選ぶんでしょ?」
桃「……っ、そんなの……」
翠「俺、もう嫌なんだ」
初めて聞く声だった。
怒っているわけでも、泣いているわけでもない。
ただ、何かが壊れてしまったような声。
翠「……もう、ひとりは嫌だよ」
その言葉に、昔のすちが重なった。
寂しがり屋で。
優しくて。
俺が困っていると、いつも助けてくれた。
俺は、そんなすちが好きだった。
だからこそ。
桃「……こんなの、俺が知ってるすちじゃない」
翠「……」
桃「俺の知ってるすちは、こんなことしない」
長い沈黙が落ちた。
翠は何も言わなかった。
やがて、俺から目を逸らす。
翠「……そうだね」
そして、小さく笑った。
翠「らんらんが知ってる俺は、そうだったね」
その言葉が、何よりも怖かった。
まるで、今の自分を否定する気がないみたいだった。
翠「……でも、俺はずっと俺だよ」
翠「らんらんが気づかなかっただけ」
――その言葉を、俺は知っている。
この前に、翠が言った言葉。
『俺、昔からずっとこうだったから』
あのときは、意味を理解したつもりだった。
でも。
本当は、何も分かっていなかったのかもしれない。
桃「……すち」
翠「ん?」
桃「……俺を、どうするつもり?」
翠は少し考えてから、笑った。
翠「どうもしないよ」
翠「ここで、普通に暮らそう?」
桃「……普通?」
翠「うん。ご飯を食べて、話して、一緒に過ごして」
翠「昔みたいにさ」
桃「……俺は、帰りたい」
翠「……そっか」
翠はドアのほうへ向かった。
桃「……待って、すち!」
振り返った翠は、いつもの優しい顔をしていた。
翠「大丈夫だよ、らんらん」
翠「俺がいるから」
桃「……っ」
翠「ずっと一緒にいるからね」
ドアが閉まった。
静かな部屋に、俺だけが残された。
少しして。
向こう側から、翠の声が聞こえた。
翠「……おやすみ、らんらん」
まるで、いつもの帰り道で別れるときみたいに。
翠「また明日ね」
足音が遠ざかっていく。
俺は、動けなかった。
昔から何度も聞いてきた言葉。
『ずっと一緒だよ』
俺はずっと、それを約束だと思っていた。
でも、違った。
翠にとっては。
俺がどれだけ嫌がっても。
俺がどれだけ離れたがっても。
終わらせることのできない、何かだった。
――翌朝。
ドアの向こうから、聞き慣れた声がした。
翠「らんらん、おはよう」
少し間を置いて。
翠「……今日も、いい天気だよ」
俺は返事をしなかった。
すると、翠は小さく笑った。
翠「……そっか」
翠「まだ、怒ってるんだね」
そして最後に。
翠「大丈夫。いつか、また笑ってくれるよね」
その声は、どこまでも優しかった。
だからこそ。
俺は、ひとつだけ理解した。
ここでは、俺の気持ちなんて関係ない。
翠が望む限り。
この関係は、終わらない。
翠「……ずっと一緒だよ、らんらん」
その言葉が、ドア越しに響いた。
――それはもう、約束なんかじゃなかった。
俺を逃がさないための、宣言だった。
END
これで本当の本当で
おしまいですっ.ᐟ .ᐟ
御愛読あざまでした
番外編は書くかはわからんのですが
これからもあたしの作品を読んでくれると
嬉しいでつ
それじゃあ
くらば~いっ
コメント
5件
やっばい今一気見した() 大好きすぎる
配信おつかれさまです、みぅです🖤 ……読後、しばらく動けませんでした。翠くんの「ずっと一緒だよ」が、約束じゃなくて“宣言”になった瞬間、胸がぎゅうってなりました。桃くんが「俺の知ってるすちじゃない」って必死に言うところ、ホントに切なかった。 最後のドア越しの「まだ怒ってるんだね」、優しさの裏側に底なしの執着があって……このバッドENDは“甘く閉じ込める”怖さがすごく描けてると思います。 完結、お疲れ様でした。番外編も楽しみにしてますね🌙