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「大丈夫、すぐに慣れるよ」
夜臣の囁きに、貴女は小さく震えた。
その言葉が冗談ではないことは、もう嫌というほど分かっていた。
「……そんなの、慣れたくない……」
「どうして?」
夜臣は優しく問いかける。まるで、貴女の答えを知っているかのように。
「だって……私は……自由になりたい……」
貴女がそう呟くと、夜臣は静かに目を伏せた。
「そっか……でもね、君」
次の瞬間、夜臣は貴女の手をそっと包み込む。
その手は温かく、どこまでも優しい。
「自由って、そんなに素敵なものかな?」
「……え?」
「自由になったら、君はきっとまた誰かに傷つけられる。
辛いことがあって、泣いて、苦しくなって……」
夜臣はゆっくりと貴女の指をなぞりながら、まるで愛おしい宝物を扱うように口づけを落とした。
「そんな思いをするくらいなら、僕が全部守ってあげる。
君の代わりに全部考えて、全部決めてあげる。
そうしたら、君はもう何も怖がらなくていいんだよ?」
「……っ」
貴女は言葉を失った。
夜臣の言葉は、まるで魔法のようだった。
優しくて、心地よくてーーでも、どこまでも恐ろしい。
「だからね、もう諦めよう?」
そっと、夜臣は貴女を抱きしめる。
その腕の中は、どこまでも甘く、どこまでも逃げられない温もりだった。
「君は僕のもの。……ずっと、一緒だよ」
そう囁く声が、貴女の意識を絡め取るように響く。
どこにも行けない。
何も変えられない。
……なのに、どうしてだろう。
「……夜臣……」
呼びかける声は、掠れていた。
それが拒絶だったのか、受け入れだったのかーー自分でも、もう分からなかった。
ただ、夜臣の腕は、これからも決して離れることはないのだろう。
甘く狂おしい愛の檻の中で、貴女はそっと目を閉じたーー。
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