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愛執の檻

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愛執の檻

4 - ⑷ 永遠の檻

2025年02月26日

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「大丈夫、すぐに慣れるよ」

夜臣の囁きに、貴女は小さく震えた。

その言葉が冗談ではないことは、もう嫌というほど分かっていた。


「……そんなの、慣れたくない……」


「どうして?」


夜臣は優しく問いかける。まるで、貴女の答えを知っているかのように。


「だって……私は……自由になりたい……」


貴女がそう呟くと、夜臣は静かに目を伏せた。


「そっか……でもね、君」


次の瞬間、夜臣は貴女の手をそっと包み込む。

その手は温かく、どこまでも優しい。


「自由って、そんなに素敵なものかな?」


「……え?」


「自由になったら、君はきっとまた誰かに傷つけられる。

辛いことがあって、泣いて、苦しくなって……」


夜臣はゆっくりと貴女の指をなぞりながら、まるで愛おしい宝物を扱うように口づけを落とした。


「そんな思いをするくらいなら、僕が全部守ってあげる。

君の代わりに全部考えて、全部決めてあげる。

そうしたら、君はもう何も怖がらなくていいんだよ?」


「……っ」


貴女は言葉を失った。

夜臣の言葉は、まるで魔法のようだった。

優しくて、心地よくてーーでも、どこまでも恐ろしい。


「だからね、もう諦めよう?」


そっと、夜臣は貴女を抱きしめる。

その腕の中は、どこまでも甘く、どこまでも逃げられない温もりだった。


「君は僕のもの。……ずっと、一緒だよ」


そう囁く声が、貴女の意識を絡め取るように響く。


どこにも行けない。

何も変えられない。

……なのに、どうしてだろう。


「……夜臣……」


呼びかける声は、掠れていた。

それが拒絶だったのか、受け入れだったのかーー自分でも、もう分からなかった。


ただ、夜臣の腕は、これからも決して離れることはないのだろう。


甘く狂おしい愛の檻の中で、貴女はそっと目を閉じたーー。





︎ ︎︎︎︎︎







︎ ︎︎︎︎︎

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