胸糞、汚い

暴力 ／ 血

「う゛ ッ … ェ オ゛ 」

今日、機嫌悪い。

弟のさとみくんはとりあえず2階に行かせたけど、俺は逃げ遅れた。クソッ、こいつさえいなければ

「さとみどこ行ったの？」

「に、2階に っ」

「逃がした？」

「……… 」

逃がしたに決まってんだろ、誰が好き好んで弟殴らせるんだよ。殴られた腹痛いし、吐き気止まんねぇー、

「おい、答えろ」

「ぐ ッ゛ 、 ぅ゛ ！」

上から次々と拳や脚、時には花瓶が降ってくる。痛い、殴られてるから血が出てる。耐えろ、上にはさとみくんがいるんだ

「ウ゛ ッ 、！ 〜〜 っ゛！！！」

「お ェ゛ ｯ 、 っう゛」

やばい、鳩尾に入った。吐いた

目の前に俺の吐瀉物が広がってく。痛くないと必死に言い聞かせるけど身体は存外正直なもので腹はじくじくと痛み、吐き気は止まらない

ガン ッ と頭に衝撃が走って俺ら意識を失った

後からわかった事だけどあの時俺はバットで殴られたらしい。「ほんとど後遺症がなくて良かったですね」と笑う医者の顔が気持ち悪く、何が良かったんだと思ったのは鮮明に覚えている

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「さとみ〜？さとみ」

「おい゛ 、 出てこいよ」

俺を呼ぶ声がする。でも兄ちゃんの声じゃねぇ、兄ちゃんはこんな荒々しく俺を呼ばない

あいつだ。あいつが帰ってきたんだ

自分の部屋のクローゼットの中にひっそりと息を潜めて隠れてる。兄ちゃん大丈夫かな。俺は大丈夫だから隠れててって言ってたけどこいつがこっちに来てるし、兄ちゃんの声がしないってことは

「見つけた」

「は… っ」

兄ちゃんの心配をして色々と考えてる間にあいつに見つかった。地獄だ

「何隠れてんだよ ッ」

「ぃ゛ だ ｯ 、 ぅ゛」

殴られ蹴られ。罵声を浴びせられる

こいつ1人なら俺の力でもやり返せるし、抵抗なんていくらでもできる。でもできない

「人様が帰ってんのに隠れんぼか？」

「なぁ゛！！」

「す、み゛ませ ｯ」

怖い。殴られた腹や痣だらけの手足の痛みよりも目の前にいるこいつの罵声や声、目線の方が何倍も怖くて耐えられない

今日は刃物やバットがないだけマシだ。死ぬわけじゃない、痛いだけ。耐えれる

「 ぐ… ｯ、う゛ ぇ…」

30分くらいモノを投げつけられたり、殴られ、蹴られたら満足したのかあいつはさっさっとどっかへ行った

クソ。殴られた腹が痛てぇし、足に至っては捻挫したかもしれねぇ

こんな地獄早く終わればいいのに

「兄ちゃん、なんで抵抗しないの？」

「……、大丈夫だよ」

あいつに頭殴られて入院までしたのに？

下手したら後遺症残ってたんだぞ？

「兄ちゃん」

「俺らが！！…俺ら2人で生きていけるほど世の中は甘くないし、優しくないんだよ」

俺らは居候の身であいつに養われてる。だから俺も兄ちゃんもあいつに手出しも逆らうこともできない

中学生の俺と高校生の兄ちゃん

漫画や小説でよくある、未成年2人だけの暮らし。なんて現実でできる訳が無い。それほど未成年って立場は弱く、守られ、色んなものを奪われる立場なんだから

「早く大人になりたい。」

頭に包帯をして、俺に微笑みかける兄ちゃんは諦めた目をして俺の頭を撫でた

「俺もだよ」

早く、早く2人でこの地獄から抜け出したい

殴ってるの誰？って？？お前らだよ

受け組殴りたい願望あるんだろ？

両親死んで可哀想な目にあってるこの2人をお前らがストレス発散って堤体で殴ってんだよ

逃げ出せない未成年2人を殴るって最低では？

下手したら犯罪だね。でもお前らはこの2人のためにお金稼いで衣食住ちゃんとさせてやってるから立派だよ。何も悪くない、ちゃんと育ててやってるからね、毎日辛い中お仕事頑張ってえらいね。いいんだよ、殴たって