テラーノベル
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激しい爆発音と共に、白髪の少年が転げる。
「いっでえ!?」
「銀さん!大丈夫ですか!?」
「あぁ、シルバーウォールで何とか・・・けど・・・」
と、銀さん達は目の前の剣士に目を向けた。骸骨が黒い鎧を着ているだけに見えるのに、腕前はとてつもなく強い、すまない先生に劣るか同等か。けれど、今の銀さん達には倒すのさえ難しい。
どうしようか皆悪戦苦闘していると、
「すまなぁあああああいっ!!!」
と、声が聞こえた途端、上から水色の剣撃が振り下ろされた。
ズガンッと激しい物音と共に、その場が揺れ、煙に巻かれる。
煙が上がっていたが、しばらくすると、煙が晴れた。
そこには、すまない先生が立っていた。
「すまない先生!!」
みんなはすまない先生の元に駆け寄る。すると、すまない先生はその骸骨騎士に突き刺さっていた水色の剣を抜き取り、銀さん達の元へと駆け寄る。
「大丈夫でしたか!?」
「怪我してないですか!?」
「うん、怪我もしてないよ」
と、すまない先生は銀さんとマネーの頭を撫でる。すると、
「・・・みんなに、話さないといけないことがあるんだ」
そう真剣な顔で答えた。
✵✵✵✵✵
「・・・ということで、僕の記憶は、もう元には戻らないんだ」
と、すまない先生は魔導書に聞いた話を全て話した。元々、この旅はすまない先生の過去を取り戻す為に旅をしていた。
けれど、すまない先生の過去は“忘れた”のではなく“自身で消してしまった”
これでは、過去を取り戻すことなんて出来ない。
元々自分の身勝手な願いでみんなを巻き込んだのに、最終的には記憶が戻らないことに。すまない先生は少し俯いていた。
すると、
「そっすか、でも、“旅はすっげぇ楽しかったですよね”」
ふと、そうレッドが答え。すまない先生は顔を上げた。
皆、とても楽しそうに笑っていた。
怒りも、呆れも感じない。“笑顔”だった。
「確かに、すっげぇ楽しかった!」
「そうですね、とても楽しかったです」
「俺、建築ばっかしてたから、旅の楽しさなんて知らなかった」
「僕も、家の中のことしか知らない僕にとってはどれも新鮮だった」
「俺も!すっげぇ楽しかった!!」
「私も!兄様達と色んなところに旅出来て楽しかったです!」
「はぁあああ!!俺もだ!あの施設の外の世界はこんなに鮮やかなのもこの旅で知った!!とても楽しかった!!」
そう皆口々にこの旅の感想を伝え合う。それにすまない先生は何故か涙が止まらなくなった。
どうして、泣いているのか、何故“こんなに懐かしいのか”自分にも分からない。分からないはずなのに、とても悲しく、懐かしかった。
✵✵✵✵✵
『例え、記憶を失ってしまっても、記した記録を破り去っても、結んだ絆を解くことは出来ない。その絆は切っても切れない“縁”なんだ。“縁”は例えどんなに遠く離れていても、縁と縁は繋がっている。だからね、例え君が記憶をまた失ってしまっても、君と結ばれている縁によって、君達はまた巡り会うだろうね』
と、魔導書の手元には先程破かれた本が。だが、光がゆらりゆらりと形を取り、新たなページが作られた。
そのページには、すまない先生と生徒達が楽しそうに笑いあっているページとなった。
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