テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

星降る世界で君にキス

一覧ページ

「星降る世界で君にキス」のメインビジュアル

星降る世界で君にキス

8 - 第8話 もはや異世界しかない!(7)

♥

31

2023年10月15日

シェアするシェアする
報告する

ココアを飲み干して、星歌は「アァ……」と大きく吐息をついた。


「住んでた家は事故物件。恋に破れ、職を失い……。なのに私は今、義弟に笑われているんだなぁ」


「ご、ごめ……、姉ちゃ……」


遠くを見つめるように半眼を閉じる星歌。

その顔やめてと行人がもだえている。


「私とお前がはじめて会ったのはいつだ? 忘れもしない小三の夏休みだ。あのころ、お前は可愛かった……。私より小っさくて、照れくさそうに、おねえちゃんって呼んでくれたな……」


ああ、私の天使が降臨したと思ったものだ……。

芝居がかった仕草で両手を広げると、行人はついに耐えきれなくなったという調子でのけぞった。

ヒーッと喉から音が漏れているが、笑い声をあげるまいと懸命に堪える様子が、どこかいじらしくもある。


「けどな、お前は大きくなるにつれ背は高くなるわ、顔は美人になるわ、頭はいいわ、運動もできるわ、モテるわ。どんな悪魔になってしまったんだ」


「だ、だから、俺のせいじゃな……」


「憧れの先輩に呼びだされて胸おどらせて行ったら、行人と付き合いたいから仲をとりもってって相談ばかり。何だそれは……BLか! 全国の乙女がキュン死するボーイズラブの主人公か何かか!」


それから星歌は、やおら指を折り始めた。


「中一のときも、中三のときも、高一も高二も。何で私は義弟にオトコを取られ続けなきゃなんないんだ!」


「……姉ちゃん、数多すぎ」


「私は恋多き乙女なんだよっ!」


「乙女はそんなふうに絡んでこないって。もういいから、今日は泊めてあげるから寝なよ。事故物件のことと仕事のことは、明日いっしょに考えよう」


笑いをどうにか呑みこんで、星歌の背をさすってやる。

服の布越しに行人の手のぬくもりを感じて、彼女は今度はスンスンと鼻をすすりはじめた。


「ごめんね。恋も仕事も家もなくして、こんな夜中に義弟の家でクダ巻いてる女がお姉ちゃんで……」


背中をなでる手が、一瞬ビクリと震える。


「俺は星歌を姉なんて思ったことないけど」


「えっ、なに?」


囁き声を聞き逃した星歌。義弟の方を振り返るが、彼はゆっくりと首を振ってみせた。

星歌の背から手をはなし、そっと身を寄せる。


「なに?」


腕と腕がぴたりとくっつくくらいの距離に、星歌の声が上ずった。

星降る世界で君にキス

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

31

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚