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本気になってはいけない恋

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本気になってはいけない恋

102 - 第102話   揺るがない想いと待ち続けていた幸せ①

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2024年04月22日

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「何、泣いてんの?」


すると頭上でこんな時に声をかけられる。


顔を上げてその声の方を見ると・・


「樹・・・!?」


今一番会いたくない人がそこに立っていた。


「なん、で・・今スピーチ・・」

「うん。そのスピーチが終わったからここにいる」

「なんで・・ダメだよ・・戻りなよ」

「別にもういいよ。もう挨拶終わったから」

「いや、そういう問題じゃないでしょ。なんでここにいんの・・。ちゃんとまだ向こうにいなきゃダメだよ」

「だってオレは透子のが大事だし」

「何それ・・・もういいよ、そういうの。とにかく私は大丈夫だから」

「だって透子泣いてんじゃん」


泣いてるの気付かれるとか最悪だ・・・。

樹にだけは負担かけたくなくて知られたくなくて外に出てきたのに。


「えっ、何が?ほら泣いてなんかないし。全然大丈夫だよ!」


必死に涙を堪えて平気なフリをして樹に気付かれないようにする。


「どこが。そんなんで誤魔化せてないから」


なのに至って冷静な樹。

もう・・なんで戻ってくれないかな・・。


「あっ、新ブランド社長就任おめでとう!もうビックリしたよ」


今の雰囲気を変えたくて、戸惑いながらも伝える。


「聞いてた?スピーチ」

「聞いてたよ。すごいな~って感心してた」

「それだけ・・・?」

「え?それだけって・・・」

「聞いてたんでしょ?スピーチ」

「聞いてたよ?」

「オレがこのブランド立ち上げるきっかけになった大切な存在って、透子だよ? わかってる?」

「いや・・なんかもう頭いっぱいで」

「は? オレあれ透子に向けてのメッセージだったんだけど」

「え?そうなの?そんなのわかんないよ・・」

「いや、あそこまで言えば透子しかいないんだからわかるでしょ」

「わかんないよ・・。樹はいつも大事なこと、ちゃんと言ってくれないんだもん・・。もう別れて随分経つし、樹の大切な人だって、もう他にいるのかもしれないし・・」

「え・・マジで言ってる? そんな簡単に気持ちなんて変わるはずないでしょ」

「樹・・怒ってる・・」

「いや、怒ってはないけど・・。相変わらずオレの気持ち、透子に全然伝わってないんだなって思って」

「だって別れてから一度も連絡ないのに、そんなのわかんないよ」

「それは・・・」


言葉にしてもらわないとわからない。

人の気持ちなんて簡単に変わる。

自分だけ信じても相手も想ってくれてるのかなんてわからない。


「そっちはどうなの・・?」

「どうって・・?」

「気持ち・・・変わったワケ・・?」


それ聞くんだ。

泣いてるのが答えでしょうが。

何もなかったらこんなことになってないよ。


「って・・泣いてるってことはそう思っていいってこと?」


泣いてるのやっぱわかってんじゃん。


「知らないよ、もう・・・」


私にこれ以上どうしろと?

これ以上一緒にいたらもっと気持ちが溢れてしまいそうでダメだ。


「ごめん。私帰るから、もう戻って」


これ以上はもうどうにもならない。

樹も主役なのにこんなところにいちゃいけない。

もうキリがないと思ってその場を立って、立ち去ろうとする。


「帰らせない」


すると、帰ろうとする私の手をギュッと握りながら強い眼差しで見つめる樹。


「放して」

「放さない」


一向に手を放そうとしないどころか、手を掴む力が更に強くなる。


「この手放したら、透子もう捕まえられなくなる」


これ以上どうなるっていうの。


「いいから、こっち一緒に来て」

「えっ!何?樹ちょっと待って」


そう言って樹が私の手を掴んだままロビーを歩いてどこかに向かう。


「樹・・どこ行くの!?」


するとある控室前に神崎さんの姿が。


「神崎さん」

「あっ、ちゃんと望月さんに会えたんですね」


樹が神崎さんに声をかけて、この状況を見てなぜか嬉しそうに答える。


「この後もうオレ大丈夫だよね?」

「大丈夫ですよ。REIKA社長にもちゃんと話してありますし、この後はもう樹が出るところはないようにしてあります」

「サンキュー。じゃあ、あとはよろしく」

「承知いたしました。ごゆっくり」

「えっ!?どういうこと!?」


神崎さんと樹はすでに何か打ち合わせをしていたかのように、やり取りがスムーズに運ぶ。


すると、また私の手を引っ張って樹がまた別の場所へと連れていく。








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