テラーノベル
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定時直前。なつは給湯室で佐藤を見つけ、こっそり声をかけた。「佐藤、さっきはありがとな。部長のあんなに焦った顔、初めて見たよ」
「いいって。おかげで俺も、山積みの資料を押し付けられずに済んだし。…でも暇、ほどほどにしとけよ? 部長、今も俺のこと、穴が開くほど睨んでるからな」
「あはは、ごめん。今度、埋め合わせにコーヒー奢るわ」
なつが笑って佐藤の腕を軽く叩いた…その瞬間、背後の空気がマイナス20度くらいに急降下した。
駐車場に向かうまでの間、いるまは一言も喋らなかった。
車に乗り込み、ドアが閉まった瞬間に、彼はハンドルを握ったまま、ボソリと呟いた。
「……なつ。佐藤に、何奢るって言ったの」
「え? ああ、協力してもらったからコーヒーくらい……」
「……俺には? 俺、今日なつが他の男と密談してるの見て、心臓がバクバクして、仕事どころじゃなかったんだけど。……俺への『埋め合わせ』は?」
横を向くと、いるまが前髪の隙間から、捨てられた仔犬のような、でも執着心の塊のような目で見つめてきた。
「……いるま。……あれは作戦だって言っただろ。お前を驚かせたかっただけで……」
「わかってる。わかってるけど、モヤモヤするんだよ! ……あいつに触ったその手、今すぐ洗って、俺にだけ触らせてよ」
家に着いた途端、いるまはなつを玄関で抱きしめ、そのまま離そうとしなかった。
「……なつ。もう二度と、あんな作戦しないで。……俺、本当に、なつがいなくなるかと思って怖かったんだから」
「……大げさなんだよ、お前は。……ほら、離せ。ご飯作るから」
「やだ。今日は俺が作るし、なつは俺の隣から一歩も動いちゃダメ。……佐藤に奢るコーヒーより、俺が淹れる最高級の豆の方が美味しいだろ?」
「……そんなところで張り合うなよ」
なつが呆れながらも、いるまの背中にそっと手を回すと、いるまは安心したように吐息を漏らした。
「……明日、会社で佐藤のデスクの周りに『立ち入り禁止』のテープ貼っておこうかな」
「……職権乱用! 絶対にやめろよ!」
嫉妬でモヤモヤが止まらないいるまくんと、それをなだめるのに必死ななつくん。
結局、なつくんが「世界で一番、お前が好きだよ」と耳元で囁くまで、いるまくんのモヤモヤ・モードは解除されないのでした。
コメント
1件
「佐藤に触ったその手、今すぐ洗って」って…いるまくん、重ためなヤキモチが完全にドストライクです。なつくんの呆れつつも最後にはちゃんと宥めてるところがもう。コーヒーの張り合いとか立ち入り禁止テープとか、拗らせ彼氏の行動が可愛すぎてにやにや止まらなかったです。二人ともお互いにしか見えてなくて尊い…!
〜*Hina*〜
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#ご本人様には関係ありません
〜*Hina*〜
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〜*Hina*〜
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