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ルフィに案内されて来たのはマキノさんが店主をやっている酒場、『PARTYS BAR』。そこで飯を食うらしい。普通酒場って子供が来るとこじゃないと思うんだけどな……。まあルフィにとっては馴染み深いところだし、別にいいか。
「マキノ!」
「ルフィ、いらっしゃい。あら?そっちの子、見ない顔ね」
「初めまして。ジェイデンです。この村を観光がてら歩いていたところ、ルフィくんに会いまして」
「あらあら! とっても礼儀正しいのね! 私の名前はマキノです。よろしくね、ジェイデンくん」
「ジェイデンで大丈夫ですよ」
「ふふっ、わかったわ」
「マキノ! メシ! ジェイデンの分も!」
「はいはい」
カウンター席に座るルフィの隣に腰掛けて、料理が出てくるまで待つことに。その間もルフィは俺に沢山話をしてくれる。癒される。今までのクソみたいな日常も相まってかなり癒される……。
「それで……」
「はい、出来たわよ」
コトン、と置かれた皿の上には美味しそうな肉が乗せられていた。いただきます、と言ってから口に入れる。めっちゃうまい……!
感動している俺に気づいたのか、マキノは笑ってどう?なんて優しい表情で聞いてくる。
「とても美味しいです!」
素直に感想を言うと、彼女はまた嬉しそうに笑う。
「ジェイデンはどこから来たの?」
「レドリック王国がある方からです」
「結構遠いところから来たのね、大変だったでしょう? 親御さんは?」
「あぁ、親は……今ゴア王国の方にいて、俺はしばらく1人でフーシャ村に滞在する予定なんです」
「そうなのね」
〝フーシャ村に滞在する予定〟以外嘘なのよなあ。でもここで本当のこと言うわけにもいかないしな。許してくれ……。
「ジェイデンはフーシャ村にどのくらい滞在する予定なの?」
「んー、1週間くらいですかね?」
俺がそう言うと、隣にいたルフィがえっ? みたいな、驚愕? した顔をする。えっ、なに、なんだ? 俺変なこと言ってなくない? いたって普通のことしか喋ってないはずだぞ? なんでそんな驚いた顔してるわけ?
するとルフィが身を乗り出して俺に言った。
「もっといろよ! おれ、お前と遊びたい!!」
「………………お、おう…?」
な、なんだよ。そんなこと言われるとは思ってなかったから戸惑っちゃったじゃないか……。まあ別にここを出てもこれといって行く場所はないから別にいいんだが……。
「こらルフィ、ジェイデンを困らせたらダメでしょう? ジェイデンにも予定があるんだから」
「あはは、数日延ばすくらいなら両親も許してくれると思うので大丈夫ですよ。あとで聞いておきます」
「そう…? 無理してルフィのわがままに付き合わなくてもいいのよ?」
「いえ、本当に平気ですよ。俺も……その、ルフィと遊ぶの楽しいんで……」
これは本当。俺は心の底から楽しんでる。久しぶりにこんな純粋に遊べた気がした。ルフィのおかげだな。
「ふふ。ルフィと仲良くしてくれてありがとうね、ジェイデン」
「ジェイデン! メシ食ったら外行くぞ!」
「わかったわかった。忙しない奴だな。零してるぞ、拭くからこっち向け」
「んむっ」
「遊ぶのはいいけれど、あんまり遠くに行き過ぎちゃだめよ」
「わかってる!」
俺はマキノさんの作ったご飯を食べながら、元気よく返事をするルフィを見つめて自然と笑みを浮かべていた。