この作品はいかがでしたか?
27
この作品はいかがでしたか?
27
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ルフィに「もっといろ!!」と言われた俺はかれこれ1週間以上フーシャ村にいる。ああ、数日前にはこの村を出る予定だったのに、あんまりにもルフィが駄々を捏ねるものだから俺が折れてしまった……。
だが俺は次はちゃんとここを発つ。今度の今度こそ、俺は心を鬼にしてここを発つのだ。……まあ、それもさらに1週間後の話なのだが……。次は絶対泣いてしがみつかれてもしょうがないな…って言ってやらないからな、ルフィ! 今度は1ヶ月とかいてしまいそうだ!!
「ふふ、百面相してどうしたの?」
「え? ああいえ、すいません…」
マキノさんに指摘されてハッとする。俺の目の前には美味しそうな料理が置かれている。今は朝食の最中だったな。考え事をしていたせいか全然手をつけていなかった。俺はまだ温かいスープを口に運ぶ。うん、美味い。
マキノさんに美味しいです、と伝えると彼女は嬉しそうに微笑んでいた。ルフィはまだ眠っているらしい。ルフィが遅いというよりは俺が早すぎるんだよな。子供はもう少し寝てた方がいいくらいだ。寝る子は育つとかいうしな。
「…ごちそうさまでした」
「はい、お粗末様でした」
「片付け手伝いましょうか?」
「ううん、大丈夫よ。これは私の仕事だから」
「そう、ですか。毎日ありがとうございます」
と言って俺はお代を置く。少し多めに。マキノさんはいらないのに! なんて言うが、たとえ俺が子供だとしても俺は客なのだ。対価はきちんと支払わなければならない。
それに、毎回食事を作ってくれるのに何もしないっていうのも申し訳ないしな。マキノさんが眉を少しだけ八の字にさせながらお題を受け取る。
「ジェイデン!」
「お、来たな」
マキノさんにじゃあまた、と挨拶をして店を出たところですでに満点の笑顔を浮かべているルフィがいた。今日は何して遊ぶかな〜。
「今日はどこに行く?」
「んー、森の方に行こう! 川で魚とったりしようぜ! ジェイデン釣り得意なんだろ?」
「得意ってわけじゃ…人並み程度だぞ」
「なんだっていいよ! 行こうぜ!」
俺の手を握ってグイグイ引っ張ってくるルフィを見て、俺は思わず笑ってしまった。釣りをしている俺と、川の中でばしゃばしゃと水を蹴り上げながら遊んでいるルフィ。
「あんまり深いところ行くなよ、お前カナヅチなんだから」
「わかってる!!」
ルフィに注意しながら、俺は釣りの餌を針にかける。一応ルフィの分の竿や餌も持ってきたのにルフィは素手で捕まえようとしている。
無邪気だなあ、なんて思いながらくいっと竿を持ち上げてみると、針にかかった感触があった。そのままくんっと上に引き上げれば、見事に俺の手元に獲物がかかった。おおー! という歓声が聞こえてくる。
俺が釣った魚をルフィに見せると、彼は目をキラキラさせてすごい! と言った。そんな彼の様子に俺も嬉しくなって頬が緩む。
それから俺が3匹釣り、ルフィも素手なのにちゃんと1匹捕まえていた。熊か己は。
「ルフィ、服びしょびしょだし一回帰ろうか。マキノさんに魚渡せば多分美味しく調理してくれるぞ」
「おう!」
びしょびしょの服を一応絞ってからもう一回着せる。一応タオルを持ってきたのだがもはや無意味だな……。もう少し大きいのを持ってくるべきだったか。