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結婚相手を間違えました

121 - 第121話 それぞれの未来③*

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122

2025年05月02日

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「――結葉ゆいはっ」


そうが切なくつぶやいて、結葉を抱き締める腕にギュッと力を込める。


これ以上ないと言うほどに二人の身体がピッタリと密着して、結葉は全身がぶわりと燃え上がるような熱に包まれた。


「そぉ、ちゃ、……んっ」


その瞬間、結葉は自分の中に受け入れた想のものが、ビクビクと脈打つ感覚を覚えて…… じんわりと、熱い液体が最奥に向けてほとばしるのを感じた。


ラテックス越しの行為でも相手がくのはもちろん分かる。

自分を揺する男性の動きが早くなるし、吐息だって荒くなる。


中で脈打つのも感じられるし、何より達したあとは、受け入れたソレの質量が圧倒的に変化するから。


でも、こんな風に何かが自分の中に放出されるのは、味わったことがなかった結葉だ。


(想ちゃん、イッちゃった……?)


偉央いおとの行為の時は、ただひたすらにまだ終わらないのかと――。辛いから早く終わって欲しいなどと願っていたその瞬間が。

ただ優しく気遣うように抱かれるだけで、こんなにも切なくて惜しいと思えるものに変わるんだと、結葉は生まれて初めて知った。


ゴムを付けていても、もしもを恐れてだろうか。

そのまま結葉の中にいることを好まなかった偉央は、自分がったら、すぐさま結葉の中からいなくなっていた。


だけど。


「辛く、なかったか?」


そうはまるでまだ結葉との繋がりを断ちたくないみたいに、硬度を失った彼自身を抜き去ろうとはしなかった。

結葉の中に挿入はいったまま、まだ息が整い切っていない途切れ途切れの声音で結葉を心底気遣ってくれる。


下腹部を繋げた状態でギュッと想に抱きしめられた結葉は、それだけでキュンと子宮が甘くうずいてしまう。


それに呼応するようにキューッとなかがうねる感覚がして、

「――っ」

想が小さく吐息を落として、「結葉、それ、やべーって」と苦しげにつぶやいた。


結葉には想の言葉が何を意味しているのか分からなくて、彼の腕の中、キョトンとして身じろいだ。


「いま終わった、ばっかなのに……そんなっ、締め付けてくんなっ。元より一回で終わるつもりはねぇけど。そんなにされたらお前のこと、休ませてやれなく、なん、だろっ」


想が眉根を寄せて、切ない声で吐き捨てる。


そんな想のその表情がすごく色っぽいと思った結葉は、〝私、まだ想ちゃんと離れたくない〟と強く思ってしまった。


「結、葉……」


結葉の願いに呼応するみたいに、受け入れたままの想のものがビクッと脈打って、再び存在感を増したのが分かる。


結葉は「ふぇ? 想、ちゃ……、またおっきく……?」と感じたままを口走って、戸惑いに瞳を揺らせた。


「バカ結葉っ。可愛い顔で、んなヤラシイ実況中継すんの、反則だろ」


想が苦笑しながら結葉の唇を塞いで、いま 果てたばかりだと言うのに、結葉の下腹部で、バリバリに準備万端みたいに硬度を増して存在感を主張してくるのだ。


突かれて擦られてかき混ぜられて…… この上なく敏感になっていた結葉のなかが、想の質量に過剰なくらい反応してキュウッと彼を締め付けた。


「あ、……んっ、想ちゃっ……そこ、ダメぇっ……!」


中の一点に想が当たると、ゾクリとした快感が襲ってきて、結葉は吐息とともに小さくあえいだ。


さっきまでも散々そこを重点的に想に責められたから、 過敏になっている分、ほんの少しの刺激で腰が切なく揺れてしまう。



「……さすがにこれは我慢すんの、無理だわ。――なぁ結葉、このままもう一回させろ。――な? 頼むから、いいって……言って?」


耳元に唇を寄せた想に甘く切なくおねだりされて、許可なんてまだしていないのにゆるゆると腰を動かされた結葉は、想にしがみついて涙目でコクコクと首肯した。


自分自身も身体の内側に熱が灯ってしまって、どうにかなってしまいそう。


何も考えられなくなるぐらい、想にグチャグチャにかき回して欲しいと、はしたないことを思ってしまった。


もちろん、偉央にだって、一晩に何度も求められたことはある。


でも。


自分から、もっともっと可愛がって欲しいと思えたのは初めてだったから。


結葉は泣きそうなくらい幸せだった。


いたわるように、でも時に制御がきかないみたいに激しくむさぼり尽くすていで愛されることが、こんなにも心地よいだなんて、知らなかった。


「想ちゃ、大、好き……」


想に身体ごと揺さぶられながら半ば無意識。

結葉はうっとりとつぶやいた。



***



二度目の行為のあと、そう結葉ゆいはの中から身を引いて……「風呂、行こっか?」と声を掛けてくれたけれど、結葉は今にも眠ってしまいそうなくらい疲れ果てていた。


偉央いおに抱かれた後も身体がボロボロになって起き上がれなくなったことはしょっちゅうあったけれど、今のこれはそれとは違って、幾度も幾度も昇り詰めたことからくる、ちょっぴり恥ずかしい――でもすごく幸せな疲労感で、 決して嫌な気怠さではなかった。


「ごめ、……ね、想ちゃ。私、すごく……眠……」


想に返事をしなければと思うのに、上手く喋れないばかりか、まぶたがトロリと落ちてきてしまう。


はさすがに目ぇさめた時、後悔すると思うぞ?」


汗で額や頬、首筋に張り付いた結葉の長い黒髪を丁寧に手櫛てぐしきながら、想が耳元で話しかけてくる。


「……ん。……分かっ……てる」


けれど、どうしても眠りの淵から抜け出せない結葉だ。



半ば条件反射のように微睡まどろみの中で生返事をした結葉の耳を、想が何の前触れもなくパクリとくわえてくる。


「ひゃっ、ぁっ!」


そのままチューチューと音を立てて耳朶を吸うから、くすぐったさに結葉はビクビクと身体を震わせて、やっと目を開けた。


「目、覚めたか?」


途端想にクスクスと笑われて、結葉はぷぅっと小さめに頬を膨らませた。


「想ちゃんの、意地悪っ」


「だって結葉、そのまま寝ちまいそうだったんだもん」


語尾の〝もん〟がやけに可愛く思えて、結葉は怒るのも忘れて思わず笑ってしまった。


と――。


「あ、……やだっ!」


仰向けに寝そべったままの結葉の蜜口から、トロリとお尻に向けて生暖かいものが溢れ出る感触がして、結葉は慌てて入り口をキュッとすぼませる様に力を入れた。


「どした?」


想が、そんな結葉を見てキョトンとして、 結葉は涙目になりながら想に謝罪した。


「ごめ、なさっ。せっ、かく想ちゃ、が中に沢山く、れたのに……笑っ、たら……溢れてき、ちゃった。……赤ちゃん、出来なく、なっちゃ、う……?」


男性の吐精を膣内なかに受け入れた経験のなかった結葉は、それがある程度は〝出てきて〟しまうものだとは知らなくて、慌ててしまったのだ。


「溢れ……? って、ああ、俺の精液か」


結葉は敢えてはっきり言わなかったのに、想はあっけらかんとそう言うと、結葉の頭を優しく撫でる。


「バーカ。問題ねぇよ。っていうか普通は出てくるもんだから気にすんな」


ましてや今、結葉の膣内には〝二回分〟の量がたっぷりと注ぎ込まれているのだから。

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