テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「初兎〜、今日0時からちょっとだけ時間ちょうだい」
その日の昼、いふが初兎にふわっとした笑みで言った。
「え……いや、今日もいつも通り本音タイム来るから無理……っ。バレたらまずいこととかあるし……!」
「大丈夫大丈夫、今日は“ちょっとだけ”質問するだけだから。答えたくなったら答えればいいし」
(絶対ぜんぶ聞き出す気だ……!)
警戒モードMAXで、初兎は昼間のうちに部屋にこもる準備をしていた。
でも、いふは抜け目がなかった。
23:59 初兎の部屋
(コンコン)
「やぁ、来ちゃった♡」
「ぎゃー!もうやめてぇえええええ!!」
「そんな拒絶しないでよ、彼氏でしょ?ちょっと恋人らしく、気になってたこと聞くだけだって♡」
「絶対それ“気になってた”レベルじゃない……やだあああ!!あと5秒……」
「はい、スタート♪」
(チン)
尋問開始
「ねえ、俺のどこが好きなの?」
「ぜんぶ……顔、声、性格、あと優しいとこと……その……キスの仕方とかも……うまいし……うぅ〜〜〜〜〜!!!」
「ん〜?キスの仕方うまいって?もう一回言って?」
「やだぁぁああああああああ!!!!」
「じゃあさ、俺に言ってない秘密ってある?」
「ないちゃんから貰ったクッキーこっそり捨てたことある……あれ石みたいだった……ごめんなさい……!」
「wwww」
「もうだめ……ほんとにやめて……!!」
「あとさ、俺のこと考えて……えっちな妄想したことある?」
「っ……!!」
「……?」
「あるけど!!!言いたくなかったのにぃぃぃぃ!!!」
「//////」
(いふ、まさかの本人も照れる)
0時59分
(チン)
「……はぁ……終わった……」
初兎はぐったりして布団に倒れ込む。
いふは静かにベッドに腰掛け、くすくす笑っていた。
「いや〜、今日の収穫すごかったね。特に“キスうまい”と“妄想したことある”は永久保存したい」
「ほんとに無理……別れても録音データで脅されそう……」
「しないしない。録音してないもん。ちゃんと心に刻んだから♡」
「それが一番こわい〜〜〜〜!!」
でも、腕を伸ばして抱きしめてくれるその温もりは、嘘じゃない。
いふに“全部知られてしまっても、嫌じゃない”と思える自分が、少しだけ好きだった。
翌日・リビング
「ねえ、初兎、昨日さ〜」
「やめて!!何も言うな!!まろちゃんと目も合わせられない!!もうだめ!!!」
「いやいや、俺はもっと聞きたかったんだけどな。“どんな妄想してたのか”とか」
「やめてえええええええええ!!!!」
おまけ:いふのメモ帳より
「午前0時尋問・成功」
✔ キスの感想
✔ 俺の好きな所
✔ ないこのクッキー事件
✔ 妄想の有無
→ 次回は“俺の服どれが一番好きか”と“結婚するならどこで式を挙げたいか”を聞く。