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それは、
恐怖ではない。
確かに――
かつてのリンクにとって、
ハイラル城はトラウマだった。
崩れ落ちる塔。
止まらない赤い光。
何度も繰り返した敗北の記憶。
だが今、
それらは“傷”ではない。
沈殿した怒りだった。
失った時間。
守れなかった命。
繰り返させられた終末。
――大厄災。
リンクの中で、
それは憎悪として
何年も、何十年も、
磨かれ続けてきた。
そして今。
その感情は、
鋭く、静かに、
刃の形をしていた。
リンクは城を見上げ、
吐き捨てるように言う。
「────よっしゃ。 殺戮パーティーだ」
一瞬、
場の空気が凍る。
《……リン…ク…???》
ゼルダの声が、明確に引いている。
FPEの仲間たちも、
言葉を失う。
だが、
リンクの瞳は冴え切っていた。
怒りに飲まれていない。
怒りを使っている。
「集中しろ」
リンクは振り返り、
仲間たちを見据える。
「これは攻略だ。 」
タヴェルに歩み寄り、
弓を差し出す。
「ハヤブサの弓。
古代兵装・矢、五十本」
タヴェルは受け取り、
重みを感じ取る。
「……エンゲルたちの刃と
似てる気配だが……」
「似てるだけだ」
リンクは短く切る。
「役割が違う。
お前は“撃ち抜く側”だ」
城門前。
リンクは
マグネキャッチを起動。
歪んだ鉄が唸り、
城門がこじ開けられる。
「バラけるな」
歩きながら、
的確に指示を飛ばす。
「敵配置は、
厄災時とほぼ同一だ」
――同一。
リンクは正確に記憶している。それが、
どれほどの恨みを意味するか。
「俺について来い。
フォローを切らすな」
五人は入場。
正面――
朽ちたガーディアン。
エンゲルが迷わず前に出る。
「くらえ!」
古代の刃が
目玉へ突き立てられ、
即座に沈黙。
だが背後。
別個体が
ビームを溜める。
「後ろだ!」
リンクは反射的に踏み込み、
――ジャストガード。
跳ね返った光が、
敵を黙らせる。
「……いい」
リンクの声は冷たい。
上空。
飛行型。
リンクは跳躍。
世界が遅くなる。
――バレットタイム。
獣神の弓が鳴き、
矢が正確に
空の脅威を落とす。
屋内。
モリブリン、
リザルフォス。
数が多い。
「チップ!」
バブルの声。
チップが
カガヤキの実を放つ。
光に包まれ、
敵の動きが止まる。
「今だ」
リンクとエンゲルが突入。
短時間で制圧。
砲台型。
照準が走る。
「タヴェル!」
リンクが叫ぶ。
タヴェルは
ハヤブサの弓を引き絞る。
しなる弓。
放たれた矢は、
迷いなく
目玉へ直撃。
「……当たった!」
「その精度を維持しろ」
リンクは淡々と評価する。
三の丸。
二の丸。
ライネル。
「ここは俺がやる」
リンクは一人、前へ。
戻ってきた時、
手には新品の
獣神の弓。
「……交換、早すぎませんか」
エンゲルが呟く。
「厄災には、
これくらいじゃ足りない」
その一言に、
全てが詰まっていた。
城内。
敵影は、
ほぼ消失。
「……九割、終わったな」
リンクつぶやき、が息を吐く。
《……リンク》
ゼルダが、慎重に言う。
《あなたの怒り…… 大きすぎます》
リンクは、
城の奥を睨み続ける。
「当然だ。 奪われた人は、もう帰ってこない 」
その声には、
迷いも揺れもない。
憎悪は、
彼を狂わせていない。
彼を前へ押し出している。
「行くぞ。 次が、本命だ」
五人は、
無言で従う。
――ハイラル城殲滅計画。
それは、 勇者の復讐の工程表だった。