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第六話「記録を喰らう者」
記録庫が、震える。
宙に浮かぶ無数の名前が、黒い波に触れた瞬間、 音もなく削れていく。
ザザ、とノイズのような音。
黒い影が、ゆっくりと形を持つ。
人の輪郭。
だが顔はない。
ただ、空白。
「….. 干渉するな」
声は低く、重い。
紫が一歩前に出る。
「あなたは“管理機構”?」
影は答えない。
代わりに、空間が裂ける。
名前の束が、鎖のように変形し、襲いかかる。
「来るぞ!」
魔理沙が飛び上がる。
星弾が炸裂。
だが当たった瞬間、弾は存在しなかった”ことに なる。
消える。
「はぁ!? 無効化かよ!」
咲夜が時間を止める。
カチリ。
止まった世界で、彼女は影にナイフを投げる。
何十本。
だが–
ナイフは、刺さる前に“消える”。
時間の中で、削除される。
咲夜の瞳が揺れる。
「時間の外から干渉している…..!」
世界が戻る。
妹紅が前に出る。
炎が爆発的に燃え上がる。
「なら、消せないものを叩き込む!」
蓬莱の炎。
不死の記憶。
それは“時間に依存しない存在証明”。
白い炎が、黒い影を飲み込む。
ギィィ、と歪む音。
初めて、影が揺らぐ。
「….. 異物」
妹紅が叫ぶ。
「お前が消してるのは、人だ!」
影が腕を振るう。
空間そのものが刃になる。
妹紅の体が真っ二つに裂ける。
血が飛ぶ。
だが次の瞬間、炎が集まり再生。
「効かねぇよ」
炎がさらに強くなる。
そのとき。
こいしが、ふっと消える。
「え?」
魔理沙が周囲を見る。
どこにもいない。
だが、 黒い影の背後で、小さな声。
「見えないよね?」
こいしが立っている。
無意識。
認識の外。
影が一瞬、揺れる。
「検出不能……」
こいしが、白い少女の手を握る。
「今だよ」
霊夢が前に出る。
御札が舞う。
「夢想封印!」
光の弾幕が、影を包囲する。
紫が境界を裂き、影の“削除領域”と幻想郷を分離 する。
永琳が叫ぶ。
その間に。
妹紅が叫ぶ。
「思い出せええええ!!」
頭の奥が弾ける。
白い少女の顔が、はっきりする。
涙。
笑顔。
炎の中で交わした約束。
– 「忘れないで」
妹紅の口が、動く。
「今のうちに、削られた名前を固定しなさい!」
魔理沙が全力で撃つ。
「マスタースパーク!!」
極太の光が、妹紅の炎と重なる
白と金の奔流。
咲夜が時間を“伸ばす”。
一瞬を永遠に引き延ばす。
続くーーー
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