今日はツアーの最終日
ホテルでダラダラ過ごそうとスマホを見ると残り8%
充電コードを持ってくるのを忘れたのを思い出した
まだ返さなきゃいけないメールがあったが、8%で持ちそうでもない
ー若井なら持ってそうかもー
そう思い、すぐさまLINEしたら持っているから取りに来てとのこと
ドアをノックし、若井の部屋にお邪魔した
君のホテルの使い方は相変わらず綺麗で
僕の部屋と同じような部屋なはずなのに、居心地の良い部屋だった
君はさっきまでドラマを見ていたらしく、なかなか面白いらしい
横目で少し見ていただけだったが、充電器のことなんて忘れて2人で見入ってしまった
親の転勤で離れ離れになってしまった2人が奇跡の再会をする話だったのだが、
「涼ちゃん!?」
めちゃくちゃ泣いてしまった
そばにあったティッシュを目一杯渡してくれる君にも泣けてきて、息が荒くなるくらい泣いてしまった
そんな僕を君はぎゅっと抱きしめてくれて、あったかくて、いい匂いがして、こころが和らいで
直ぐに荒くなった呼吸は整った
「ごめんね、ありがとう」
感謝を伝える為に顔を見上げたが、多分散々な顔だっただろう
その事を思い出して、ばっと顔を伏せたが
「かわいい」
さっきとは違う熱くて、君の香水が強く香る、胸がドキドキする様な抱擁で
僕の頬を涙が伝って、君の肩に落ちて染み込んだ