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鷹槻れん

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『今日は就業後に、日織さんから「携帯を持つことにしました、どんなのがおすすめですか?」と質問されました。
僕が使っている機種に興味をもっていらしたので、少しご説明させていただきました。
結局、キャリアも機種も僕と同じものになさったようです。
勝手なことをして申し訳ありません。
ただ、ひとつ本音を言わせていただくと、僕は彼女が僕の真似をしてくださったことを大変嬉しく思っています。
彼女が携帯の操作で困った時に、僕が迷いなくお教えできるところが便利だな、と感じているからです。
塚田修太郎』
***
さすがに修太郎さんのお宅へお伺いしたことや、会議室でのあれこれは書かれていなかったけれど、それを見ると私が修太郎さんのそばで、どんなふうに一日を過ごしていたのかが手に取るように分かった。
というよりも――。
(まるでラブレターのようで照れてしまうのですっ)
業務連絡のようにその日の出来事が箇条書きにしてあるのかと思って目を通し始めた私は、そこに綴られた修太郎さんの溢れてやまない私への愛情をひしひしと垣間見てしまって、照れてしまう。
改めて封筒の方を確認してみると、消印はキッチリ一週間ごとだった。
「修太郎さん……筆まめさんですね」
照れ隠しに、内容については一切言及せずそうつぶやいたら、お父様に「日織、顔が赤いようだけど、感想は本当にそれだけかい?」と笑われてしまった。
「お、お父様っ!」
(意地悪なのですっ!)
思わず熱くなったほっぺを覆うように隠して抗議の声をあげたら、お父様はふっと真顔になって私を見つめていらした。
「なぁ日織。お前、本当に修太郎くんのことを愛しているのか?」
私が手にしたままだった、報告書という名の恋文をスッと抜き取りながら、尋ねていらっしゃる。
「はい、もちろんです!」
私もそんなお父様の目を真っすぐに見つめて真剣にそうお応えすると、お父様は安心なさったように表情を緩められた。
「この手紙を読めば、修太郎くんがお前のことをとても大切に思ってくれているのは一目瞭然だ。しかしお前と彼は年齢もひとまわり以上離れているし……いくら好かれているからといって、お前にその気がないのなら、いつまでも彼に気を持たせるようなことをするのは酷だと思ってね。それこそ、日織の気持ち如何によっては修太郎くんからお前を離すことも考えていたんだよ。――なぁ日織、お前は本当に修太郎くんと一緒にいたいんだね?」
(そんなに何度も確認していらっしゃらなくても……)
そう思った途端、お父様は私が修太郎さんとお付き合いすることにもしかして反対なのかな?と不安になる。
思わず腿の上でギュッと手を握りしめたら、横に座っていらしたお母様が、私の右手にご自分の手をそっと重ねていらした。
私はお母様の手に左手を添えると、ほんの少しだけ力を込めて握りかえす。お母様から勇気を頂いたような気がした。
「――愚問なのです、お父様。私も修太郎さんと同じぐらい、いいえもしかしたらそれ以上に……彼のことが大好きです。だから……どうかお願いします。私から……修太郎さんを奪わないでくださいっ!」
一度もお父様から視線を逸らすことなく、私は凛とした声音でそう言い切った。
二十年間生きてきて、こんなにハッキリと自分の気持ちを両親に伝えたことはなかったかも知れない。
「そうか。分かったよ、日織。――ならば、父さんと母さんは、お前と修太郎くんを全力で応援しよう」
コメント
2件
あんなラブレター(笑)見せられたら…ひおりちゃんの気持ちさえ本物なら応援するしかないよね!
修太郎さんの手紙、あれ完全にラブレターですよね…! 業務連絡みたいな文体なのに溢れ出る愛情が隠しきれてなくて、日織さんが照れるのめっちゃわかります。そしてお父様の「本当に愛しているのか」という問いかけ、日織さんの「奪わないでください」には胸が熱くなりました。家族みんなで応援してくれるのが温かくて、この一歩がすごく尊いです🌙