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#5 平和の香りと鉄の大地
遠い国の小さな村に、花を育てる老女がいた。
彼女の願いはただ一つ──世界が優しさで満ちることだった。
老女は庭に特別な花を植えた。
その花は、香りをかぐだけで心が落ち着き、怒りも悲しみも和らぐと言われていた。
村人たちは庭に集まり、花の香りに微笑んだ。穏やかな時間が流れた。
ところが都市からやってきた投資家が庭を見つけ、花を戦争の道具に転用する計画を立てた。
「この花を使えば、兵士を眠らせる薬を作れるぞ」
老女は必死に抗議した。
「ちょっと待って!これは平和のための花よ!」
だが投資家は笑い飛ばし、花は戦場で恐怖を生む道具となった。
老女は庭の端で静かに花を撫でながらつぶやいた。
「願いがこんなふうに裏目に出るとは……」
戦争は止まらず、花の香りはそのまま、世界を癒すどころか破壊の一部になった。
しかし、村の子どもたちは庭に来て、花を見つめながら小さくつぶやいた。
「たとえ世界が間違った使い方をしても、この花の約束はまだ残っているピーポー」
その「ピーポー」は、ただの言葉ではなかった。
平和を信じる心、未来に希望を託す力、そしてどんな逆境の中でも消えない願い――
子どもたちの胸に、小さな鐘のように響き続けたのだった。