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わたがしにしては珍しい注意書き




今回この作品は「きゅうり@活動休止中」様の「黄ポメ主役の生誕祭2025」というイベントのために書いているものでございます。


#黄ポメ主役の生誕祭 で検索かけると他の方の小説も閲覧可能ですのでそちらもお読みください。


俺なんかより全然小説書くの上手い方々でいっぱいでございます。


書きながら考えていますので下手です。(←ココ重要)


27日だと思ってました、ほんと遅れてすいませんでした……(土下座)




――――――――――――――――――――




「んー……ねむぃ……」



パチパチと瞬きをしながら起き上がり、軽く欠伸をする。


外からは工事の音と鬱先生の声が聞こえた。



「しゃーおさん、起きました~?」


「いっだぁ゛!?」



バシン!と気持ちいいまである音がし、俺の腹には鈍い痛みが。


叩き起こす(物理)は初めてやな、うん……。



「うぅ゛……起きた起きた……」


「ほら、早く着替えて!あ、いつもの服じゃないですからね」


「わーっとるってぇ……すぐ行くから……」



装いの変わったショッピに叩き起こされ(物理)、起き上がってタンスを漁る。


えーっと確か……あったあった。


野球のユニフォームを取り出し着替え、帽子を持って外に出た。



「あ、おはよぉシャオさん。すごい声聞こえたけど大丈夫そ?」


「おはよ、ショッピに物理的に叩き起こされた」


「アァ……w」



メガネをかけたエミさんに現状を伝えると苦笑された。


聞くと、ゾムも同じことをされたのだとか。



「ったく、あいつはいつからあんな生意気になったんやろか…」


「最初からちゃう?」


「……確かに」



そこでLI●Eでトントンに「早く来い」という圧を感じるメッセージを送られ、エミさんに手を振って走る。


無駄に大きな化粧室へ行くと、ショッピの真っ黒になった髪が見えた。



「おっくれましたー!」


「遅いでほんま……ショッピは終わってもうたよ」


「ごめんごめん、俺もよろしく~」



先ほどまでショッピが座っていた椅子に座ると、トントンが俺の髪を触る。


けっこう愛着のあった甘栗色の髪。


今日からは変わってまうねんな。



「ショッピにも聞いたけど……ほんまにええんか?髪色変えへんのもアリなんやで?」


「ええんよ、惜しくなってまう前に早よ染めちゃってや」



軽く嘆息したトントンは、ヘアカラー用品を手に取った。


俺は金髪に染めるから、まずは色を抜かなきゃいけない。


やっぱり嫌だ、となってしまわないように染めている間はずっと目を閉じていた。




数十分後、「できたで」というトントンの声に合わせて目を開く。


綺麗に染まった金髪が見えた。



「案外似合いますねぇシャオさん」


「そりゃ俺やしな!」


「ウワ、褒めんかったら良かった」


「なんでやねん」



トントンに乾かしてもらった髪を撫でる。


染めたばっかりだからまだギシギシしてるけど、まぁそのうち馴染むだろう。



「ほら、まだ終わっとらんで。髪型も変えるんやろ?」


「あ、せやね。おまかせでよろしく~」


「なんやねんおまかせって……」



ショッピのセンター分けになった前髪を横目で見る。


あいつあんなに前髪長かったんやなぁ。


ヘルメット被ってたしわからんかったわ。



「…目、瞑っとく?」


「あ、じゃあそうしよかな」



再びきゅっと目を閉じた。


シャキ、シャキ……とハサミの控えめな音が響く。


首筋に落ちる髪を感じ、くすぐったくてふるりと身を震わせた。



「……終わったで、なんか注文とかある?」



目を開けると、そこには「前の俺」とは似ても似つかない「今の俺」がいた。


ウルフカット?なんて言うんやろ、この髪型。



「ううん、ありがと。気に行ったわ」


「そ?ならええんやけどね」


「んじゃシャオさん、鬱先生とゾムさんのとこ行きましょうや。手伝わんとぐちぐちうるさいですし」


「せやね~、行こか」



トントンに2人でお礼を言って話しながら歩く。



「や~、案外イメチェンしても ”っぽさ” は残るんすね」


「あ~確かに。ショッピくんめっちゃぽいわ」


「シャオさんも雰囲気は全然変わりませんねぇ~」



そんな話をしていると、外で指示を出している鬱先生とゾムに会った。



「お~、シャオちゃんとショッピ!めっちゃ変わるやん!」


「よ!鬱先生は全然変わらんな!」


「で、あんたは誰っすか?」


「ゾムやけど???」



鬱先生は相変わらず煙草……キャスターやったっけ?を咥え、「まじめにヤバシティ建設計画」と書かれた計画書を広げている。


いつから寝ていないのか隈が酷い。今度モンスターを差し入れよっかな。


ゾムはもう完全に人外である。なんなんこいつ。頭ボーリング玉?


いくら顔隠したいから言うても迷走しとるやろ完全に。



「どう?進んどる?」


「うーん、まぁぼちぼちやな。市長ねこひよこちゃんやからこの子に聞きつつ」


「自我あるんすかあれ」


「さぁ……?」



Tシャツのキャラを見下ろして笑う鬱先生に若干引き気味のショッピとゾム。


計画書を見せてもらうと、すごく綿密な計画が小さな文字で綴られていた。


全部鬱先生の筆跡だから寝ずに頑張ってるんだろうな~ってわかる。


もともととんでもなく自堕落な野郎だったから、そろそろ本気で心を入れ替えたのだろうか?


……いや、鬱に限ってそれは無いか。



「できたらみんな呼ぼうな!ろ……もりこーとか、れぱ……ひょう太郎とか!」


「あとちーのも呼びましょ!」


「あは、楽しみやなぁ~」


「早よ作り終わらんとな!」



それからちょっと話して、解散した。


ちょっと歩いたところにあるベンチに腰を下ろしてため息をつく。



「……みんな、頑張っとるんやなぁ」



まだ気持ちの整理もついてないくせに、みんな頑張ってる。


まるで何も変わっていないかのように。


みんなが頑張るなら、俺も頑張らないといけない。


何も無かったと自分に嘯いて、生まれ変わらなきゃいけない。



「……さびしい……」



こんな時、俺と同じように姿かたちを変えたマブダチならどうするんだろう。


なんて言葉をかけてくれるんだろう。


「何しょげてんねんお前……ほら、落ち込まんといてや」なんて、暖かい言葉をかけてくれるのだろうか。


それとも、「はっ、お前が暗なったらもう何も残らんで?」などと憎まれ口を叩くのだろうか。



「……はは、言いそ~……w」



もう「前の俺」として人と関われないのが辛い。


大好きだったTRPGも、「前の俺」として参加できない。


ぼーっと空を仰ぎ見る。


俺の心とは対照的に、抜けるような清々しい青空が広がっていた。


まるでまじめにヤバシティの建設を祝福するかのようだ。


あぁ、寂しいなぁ……。



『じゃあなんで鬱について行ったん?』



誰かの声が聞こえた。



『あいつについて行ったらこうなることはわかっとったやろ』


「……それは、俺も鬱先生の意見に賛成やったから……」


『今こうして一人でぶつぶつ言うとるくせに?』



誰かの声じゃない。


少し高めで、舌足らずな喋り方。


何よりも聞きなれた、俺の声だ。



『みんな、お前と違ってとっくに日常に戻っとるよ?気持ちの整理がついてへんのはお前だけ』


「いや……ちが、そんな……」


『違う?んなわけあらへんやろ?みんな、お前と違って強いんやからな』



嘲笑うような俺の声が脳内に響き、胸が苦しくなる。


置いて行かないで。


お願いだから、離れないで。


俺は弱いから、そんな弱音でさえ満足に吐けない。



『もう見た目も変わってもうたから戻ることも許されへんな~、かわいそーw』


「お、ぉおれ、どうしたら、えぇの……?やだ、ゃだよっ……」


『ん~?まぁ……1個だけ解決策はあるんちゃう?』



今話してるのは、俺を嘲る俺の声をしたこいつだけで。


だから、こんな奴にどうすれば良いのか聞いてしまった。


普段ならもっと冷静な判断ができたはずなのに。



「な、なに……?おれ、ぉれどうしたらええの……?」


『死んだら?』



事も無げに言われたその一言は、不思議なほど俺の心に染み入った。


死んだら、ええのかな?


死んだら楽になれるんかな……?



『死んだらもう辛いことも悲しいことも苦しいこともあらへんよ?』


「し……んだ、ら、楽……?」


『楽になれるで?もうぜーんぶ投げ出しちゃってさ、死のうや』



目の前に黒い靄が現れた。


それは少しずつ形を成していく。


華奢な身体。だぼっとしたオーバーオール。サラサラとした髪はボブヘアで、薄い唇は三日月のように弧を描いていた。


嫌いじゃなかった昔の姿。



『もうなんにも考えへんくてええねんで。俺の話だけ聞いてればさ』


「おまえの、……話だけ……」


『そうそう、俺の話だけ』



だんだん目の前が暗くなっていく。


雲一つない真っ青な空も見えなくなって、暗闇の中であいつが言った。



『お前は俺。俺はお前。俺だけは、お前とずーっと一緒にいたるからな』



そんな怖いほど魅力的な言葉が聞こえたのを最後に、意識がブラックアウトした。





――――――――――――――――――――





意識が浮上して、スーッとした薬品の匂いが吸い込まれていく。


目を開けると、アメジストの瞳と目が合った。


サングラスで彩られたそれは心底心配そうに俺を見つめる。


俺の目が明いていることを確認した彼は、パチリ、と瞬き一つ。



「あ!シャオさん起きました!」


「ぇ……?」



センター分けの黒髪を揺らしたショッピが俺の顔を覗き込み、大声を上げる。


トントンとエミさんが走ってきて、「大丈夫か」と聞いてくる。


えーと……俺は何をしてたんやったっけ……?



「シャオロン、聞こえるか?大丈夫か?」


「ぁ……うん、聞こえる……」


「シャオさん、会議中に急に気絶しちゃったんすよ?ずっと泣いてて、たまに吐いて」


「そぉ、なん……?」


「ほんま心配やったよ……気持ち悪いことない?痛いところは?なんかしてほしいことある?」



過保護なほど質問攻めをしてくるエミさんに「大丈夫やで」と答えてゆっくりと起き上がる。


そっか、医務室のベッドに寝てたんやね。どおりで薬品の匂いがするわけやわ。



「……なぁ、俺の髪って何色?」


「え?髪……ですか?金色ですよ?」


「ぁ、あれ?そうよな?なんでこんなこと聞いたんやろ……?」



なんかすっごい怖い夢見てたような気がするけど……気のせいかなぁ?



「まじめにヤバシティは半年前にできとるし……あれぇ……?」


「……やっぱどっかおかしいんとちゃう?病院行くか?」


「それがええと思います……」


「どこの科かな?精神科?」


「大丈夫やってもぉ~……」



ため息が出るほど過保護な3人に呆れつつも幸福感が胸に広がった。


しばらく3人を宥めていると、大きな音を立てて扉を開けた鬱先生とゾムがいた。



「シャオちゃん目覚めたァ!?」


「とっくに覚めとるで~」


「良かった……」



脱力したように座り込むゾムと、俺の身体に異変が無いか調べる鬱先生。


服まで脱がそうとしていたのでさすがに殴った。


ギャーギャーとうるさい5人はほっといて、窓から空を見上げる。


ペトリコールが香り、そういや今日は雨の予報やったなと思い出した。



『お前は俺。俺はお前』



何やら変な声が聞こえ、後ろを振り向く。


そこには鬱先生をボコすトントンとそれを写真に収めゲラゲラ笑うショッピとゾム、なんとかみんなを宥めようとするエミさんがいる。



「……、?気のせい……?」



なんとなく嫌で、忘れることにした。





――――――――――――――






謎。


明日の投稿はこちらのイベントの発案者様「きゅうり@活動休止中」様でございます。


ぜひ見てみてください。


素晴らしく尊くて素晴らしいです。絶対に。

この作品はいかがでしたか?

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最高だぜ👍👍

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