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究極の愛

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究極の愛

1 - エゴイズム。高城視点。pxivに載せた秋元と対になる話。単体でも読める。シリアス。

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2023年01月25日

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「ねぇ、高城さんはさ~究極の愛の形って何だと思う?」

「エロースとか、アガペーとか、そう言った類いの話しか?」

確か、エロースは肉欲的な愛、アガペーは無償の愛だったか。

「んなもん、俺から言わせれば全部ひっくるめてエゴイズムだと思うがな」

見返りを求めなければ無償の愛か?

確かに、神とやらは人間に見返りなんて求めてはしねぇーだろうな。

よく神様は、その人が乗り越えられる試練しか与えないというが、此方の都合も了承もなく、一方的に押し付けてこられるものが、果たして愛と言えるのか?

神様の行動は、俺ら人間と変わらない。

自分がしたいから、そう振る舞っているだけにしか過ぎない。

なら、その時点で、エゴエゴイズム(自分本意)じゃねぇーか。


「なんか高城さんらしい答えっすね。でも、俺の思う究極の愛の形は、カニバリズムだと思うんすよねぇ~。例え死んだとしても、その人の血肉となって全身を巡る一部となることで、永遠に俺は生き続けると考えるだけで、なんかゾクゾクしません?」

「おい、少なくとも人が飯食ってる時にする話じゃねぇーな」

俺が飯食ってるの見てて、こんな話題をふってくるなんて悪趣味だろ。

辟易とする俺とは、対象的に秋元は楽しそうに話を続ける。


「高城さんが食べてるから、話してるんじゃないですか」

「飯が不味くなるからヤメロ」

「止めませんよ。生きてる内に、意思表明しとかないと、死んだら俺の願い汲んで貰えないじゃん。だからさ~俺が死んだら、高城さんは俺を食べて下さいね」

「俺にカニバリズムを強要するな」

それに秋元、お前不味そうだしな。

「あ、高城さんが死んだら、俺が食べますから、安心して死んで下さいね」

「おい、その一言で、安心して死ねなくなったじゃねーか」

「俺はさ~神様とか閻魔様とか会った事もない奴らに、高城さんを渡したくないんっすわ。高城さんだって、俺を渡したくないでしょ?」

「それはどんな理屈だよ。しゃーねぇな。秋元分かったよ。俺が死んだら、俺の全てをくれてやるよ。死でさえも。ただし、残すなよ?」

「やっぱり言うてみるもんすね。これで高城さんは俺のもんすからね」

「あと、お前が先に死んだら、俺が食べる事になるんだから、死ぬまでに少しでも美味しくなっとけよ」

「え~、俺そんなに不味そうっすか?高城さんは、仕方ないなあ~。調味料は塩までなら許すことにします」

「おい、俺は調味料も好きに選べねぇーのかよ」

「だって、俺その物を味わって欲しいのに、調味料かけたら台無しじゃん」


本当に、秋元も俺もつくづくエゴイストだ。


無償の愛を謳う神であったとしても、俺たちのこの愛は理解することなんて到底出来やしない。

いや、この想いの一辺すら神にも渡しはしない。

どちらが先に死んだとしても、互いの血肉となり現世に留まり続ける限り、死してなお生き永らえる。

エゴは死の概念すら超越する。


ほらな、俺の言い分はなんも間違っちゃいねぇーだろ?

所詮、究極の愛の形はエゴイズム


おわり

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