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第一話  

入学式を終え、僕は自分の教室へと、向かっていた。

教室に入ると、クラスメイトの名前が番号順で黒板に貼ってあった。

「それでは皆さん、入口側から番号順に座っていってください。番号がわからない人は黒板に張ってあるので見に来てください」

三組の担任である岩永先生がいった。

みんなはその指示どおり自分の出席番号を確認して入口側から番号順に席についた。

入学式のときに僕は一番うしろだったから一番うしろの窓際の席へとついた。

「では、今から皆さんには自己紹介をしてもらいます。番号順に1番からお願いします」

そう言って一番から順に、名前、好きなものなど自由に自分についてみんなに話していった。

「じゃ次は八神くんね。」

先生に指名され、僕はゆっくりと立ち上がり

「俺の名前は八神瑠衣。よろしく」

と短く一言だけ言って席についた。

「えっとこれで終わりかな?八神くん」

「はい」

僕は短く先生の問いに答えた。

周りはザワザワと騒がしくなった。

“はぁ。うるさ。”

女子は周りにいる女子たちで”かっこよくない?”、”かっこいいよりもクールってかんじじゃない?”などと、くだらないことで騒いでいたり、僕のことを”あり得ない”という目で見てくる人も少なからずいた。

「静かに。ではみんなの自己紹介が終わったので、次は先生の自己紹介をしたいと思います」

と先生の自己紹介が始まったあとは、明日の日程を確認し帰宅となった。

「あの八神くん連絡先交換してくれない」

一人の女子が僕に言ってきた。

「ごめん無理」

僕は冷たくあしらい、足早と教室をでて帰った。

次の日学校へ行くと、数人の女子が昨日のことで僕に怒っていたが正直どうでも良かった。

“だってみんなどうせ顔しか見てないんだから”

僕は適当に流して席につきヘッドホンを付け、完全に周りの音を遮断した。

先生が教室に入ってきて、先生に指名された人が”規律。礼。”という掛け声をしみんな”おはようございます”といい席につく、そこから今日の日程などを確認し朝の会は終わる。

そこから一時間目、二時間目と授業が終わり、お昼休みになる。その時も、何人かの女子が話しかけて来るが、そのたんび簡潔に答えてあとは、黙る。その繰り返しだった。

“どうせ、みんなは僕の顔に興味があるだけで、僕自身には興味すらないのに”

そんな日々を続け、気づいたら入学式から1ヶ月が立っており、少し蒸し暑くなる5月になっていた。

そして、僕は彼女のことをすっかり忘れかけていた。

あのときまでは。

入学から1ヶ月も立つと教室から薄っすらと感じとる事のできる緊張感は薄まりつつあり、周りの人達は段々と仲良くなっていく。それでも僕は相変わらず周りの人と数歩距離を置き、できるだけかかわらないようにしていた。

そんなある日。一人の先輩が話しかけてきた。

「やっと見つけた」

そう呟き、彼女は一年の廊下をスタスタと歩いている。

周りは、その人に対して異様に興味を持ち注目していた。

なぜなら彼女は、世間一般でいうと”美人”という人種だったからだ。

誰かの知り合い?”

“めっちゃ美人じゃね”

“綺麗”

など彼女のことを褒め称える言葉がクラスや廊下中に響いていた。

そんな彼女に話しかけられた生徒は少なくても一年生の中じゃ”人気者”になれるだろう。

ある一部の男子からは

“俺にようがあるんじゃね”

など期待を寄せる声があがっていた。

だが僕は、ただただ”迷惑”だとしか思わなかった。

だって、”人気者”なんてただのお飾りに過ぎないから。

気づけばその先輩は二組の教室のほうまで来ていた。

それでも、その先輩が歩みを止めることはなく、どんどん近づいてくる。

そして、ふとあることが気になった。それはさっき彼女と目があったときのことだった。

“彼女はさっき僕と目があって、”見つけた”と言わなかっただろうか?”

その一つの疑問だった。

“もし、僕が疑問に思ったことが当たっていたとしたら…。”

そう感じた途端、血の気が引くのを感じた。

“絶対に嫌だ。”人気者”になんか絶対になりたくない”

僕は神にも縋る気持ちで彼女のことを見ていると。

彼女は僕の前で止まった。

その時、彼女に向けられていた視線全部、”僕”に注がれた。

“誰あいつ”

時間が止まったかのように誰も何も言っていないのにそう言われている気がした。

そんな空気を気にするわけでもなく、その先輩は

「ちょっとついてきて」

と言ってきた。

「えっと…。」

僕が返答に困っていると彼女は無理やり僕の手首を掴み、引っ張って歩き出した。

僕ははじめ何が起きているのかわからず、先輩にされるがまま引っ張られて歩き出した。

「あの先輩。離してくれませんか?手」

と聞いてみた。

でも先輩は、僕の問いかけに全く耳を傾けず、ズンズンと突き進んでいく。

“なんなんだ。この人は”

僕は、あの時のみんなからの視線を思い出すと気が気ではなかった。

なるべく思い出さないようにと、自分を落ち着かせたかったので今は空気の読めない自分勝手な先輩にただ静かに怒ってついて行っているだけだった。

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