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とりあえず、自分の荷物をまとめながら、どうしてこうなっちゃったのかを考える。
落ちついて考えると、桶川さんの言ってることはもっともなのだ。
かつて私の周りにいた男の子達は、“小さくて守ってあげなきゃならない女の子”像を私に押し付けてくるか、小さいから御しやすいと甘く見てくるかのどちらかだった。
前者は、打たれ強い私の性格に幻滅していなくなったし、後者は意外と思い通りにならない私にイラついてストーカー化していった。
……だけど、それを勝手に桶川さんに当てはめて、いつか飽きるでしょうなんて言うのは、たしかに失礼な話だと思う。
私は改めて自分のいる状況を考える。
桶川さんのマンションに連れてこられて一週間。
チビだの、豆狸だの、さんざん言われていたような気がしていたけれど、それって私が自覚して自分から言っていることばかりで。
私が本当に傷つくようなことはあの人はひと言だって言わない。
ソファで寝ると宣言して実行しても、毎朝目覚めるのは桶川さんのベッド。
口で言うほど性的なアクションをしてくることはない彼に、私は徐々に安心し始めていた。
思えば桶川さんは、口も悪くて強引で、私のペースを乱すけれど、私の心に無理強いはしない。
だから彼の隣が凄く居心地が良くて、真綿のような温かさを持つこの部屋も居心地が良くて。
これに慣れきってしまったら、いつか一人に戻るときに、私はきっと立ち直れなくなってしまうんじゃないかと思った。
それは、ひとりで気を張って生きているより、もしかしたら怖いことなんじゃないかと思ってしまって。
「だから逃げ出したい……なんて根性ないよなぁ」
知ってる。だけど本当に怖かった。
桶川さんがあんまり格好良くて優しいから、信じきれなくなっちゃったんだよ。
「……これ、別れたことになるのかな?」
呆れたように出て行ってしまった彼。
私までここを出て行ってしまったら、これで私たちお別れ? 終わりってこと?
そう考えたら涙が浮かんできた。
あー私ってバカすぎる。
桶川さんの隣に立つ自信がないからって、グジグジと言い訳めいてただの同居なんて言い張って。
こうして突き放されたらやっぱりここにいたいなんて思うなんて。
ストーカーがいつ来るか分からない自分のアパートに戻るのは怖い。
だからと言って、桶川さんの好意をまるまる受け取るのも怖い。
失ったときを思えば、どうしても一歩踏み出す勇気が出ない。
「……駄目だぁ。八方ふさがり……」
ついに涙が浮かんできて、私はそれをぬぐう元気もなく、流れるがままに涙を落とす。
もう、考えるの疲れてしまった。
どうせ桶川さん、週末帰ってこないって言ったし、さっぱりするまでここで泣こう。
荷物をまとめた鞄を玄関前に置き、それでも出ていくことにもためらいがある私は、考えるのを放棄してソファに縋りつきながら泣いた。
コメント
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第42話、読みました… 桶川さんの優しさを「信じきれない」って気持ち、すごくわかるな。守られることに慣れてないからこそ、怖くなっちゃうんだよね。彼女が「別れたことになるのかな」って涙するシーン、胸がぎゅっとなった。でも桶川さんが呆れて出て行ったところ、彼なりのやり方で彼女に気づかせようとしてるのかな…次が気になるよ🥀