テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
第9話 普通の男の子
クラス対抗リレー。体育祭の中でも特に大きな歓声が上がる競技。
そして、ゆあんくんにとっては、今日一番大きな勝負だった。みんなが次々と走っていく。スタート位置を見るとゆあんくんが立っている。どうやら次がアンカーらしい。
💚 「ゆあん!」
ゆあんくんが少し驚いた様子で振り返る。
💚**「楽しんで!」**
ゆあんくんは笑った。その笑顔は、前とは違った。無理している感じがしない。
本当に、楽しそうだった。
そして――。スタートの合図が鳴った。
💚「始まった!!!」
💛「うるさ笑お前、応援するんか食べるんかどっちかにしろよ笑」
💚「もちろん両方!」
💛「アホか!」
前の走者たちが次々とバトンを繋いでいく。少しずつ順位が変わっていく。
そ して――。
💚「ゆあんのクラス、今二位!」
💛「おお!」
バトンが、ゆあんくんのクラスの走者へ渡る。そして最後。アンカーへ。
❤️「……っ!」
ゆあんくんがバトンを受け取った。その瞬間、一気に走り出す。
💚「ゆあん!!」
💛「いけー!!」
速い。どんどん前との差を縮めていく。周りから大きな歓声が上がる。
「ゆあん!いけー!」「頑張れー!」「ゆあん、抜けるぞ!」
ゆあんくんは走る。
でも――。いつものように**『勝たなきゃ』**と苦しそうに走っているようには見えなかった。ただ、
前を向いて。一生懸命に。
💚「いけるんじゃない!?いけるんじゃない!?」
俺はたっつんの肩を叩く
💛「痛い痛い!」
そして、ゆあんくんは楽しそうに。最後まで走り切った。
結果は――。惜しくも二位だった。
💚「ゆあん!」
俺はすぐに駆け寄る。
❤️「……はぁ、はぁ……」
💚「お疲れ!」
❤️「……ありがとう」
ゆあんくんは息を整えながら笑った。
❤️「楽しかった!」
小さい子みたいにはしゃぐゆあんはとってもかわいくみえた。
💚「……あはは、よかった!」
💛「ほんまにな」
たっつんも笑う。
でも――。少しすると、ゆあんくんの表情が変わった。
❤️「……でも」
💚「ん?」
❤️「やっぱり、ちょっと悔しいです」
💛「そらそうやろな」
❤️「俺がもう少し速かったら、勝てたかもしれない」
💚「……」
❤️「みんなも、勝ちたかったと思うし」
ゆあんくんは視線を落とす。
❤️「……やっぱり俺、もっと頑張らないと」
💚「……」
俺は気づいた。体育祭を楽しむことはできた。笑うこともできた。
でも――。ゆあんくんの中にある**『自分が頑張らなきゃ』**という気持ちは、まだ消えていない。
💛「ゆあん」
❤️「?」
たっつんがゆっくり口を開く。
💛「一個聞いてええ?」
❤️「はい」
💛「リレーって、何人で走った?」
❤️「……?」
ゆあんくんは少し考える。
❤️「……クラスのメンバー、全員で」
💛「やろ?」
たっつんは笑った。
💛「じゃあ、なんでゆあん一人の責任になるん?」
❤️「……!」
ゆあんくんが目を丸くする。
💛「アンカーは最後に走るだけや。バトンをここまで繋いできたんは、ゆあんだけちゃうやろ?」
❤️「……」
💚「そうだよ」
たっつんもたまにはいいこと言うじゃん。
💚「ゆあんが一人で頑張ったからここまで来たんじゃない。みんながバトンを繋いでくれたから、ゆあんが走れたんだよ」
💚「それにさ。負けたらみんなに申し訳ないって言ってたけど――」
💚「みんな、本当にゆあん一人に勝ってほしいって思ってたのかな?」
❤️「……え? 」
💚「きっと違うよ。みんなで勝ちたいんだよ」
💛「そういうことやな」
❤️「……」
ゆあんくんは、目を伏せた。そして――。
❤️「……そっか」
小さく呟いた。
❤️「俺、一人で全部背負おうとしてたのかもしれない」
💚「うん」
❤️「キャプテンだから、ちゃんとしなきゃって」
💛「うん」
❤️「期 待されてるから、応えなきゃって」
ゆあんくんは少し笑う。
❤️「でも……俺、一人でキャプテンやってるわけじゃないんだよな」
💚「そう!」
俺は笑顔で頷く。
💚「二人なら半分こできるみたいに、みんなで背負えばいいんだよ!」
💛「……お前、ええこと言うやん」
💚「えへへ!」
💛「珍しくな」
💚「珍しく!?」
❤️「あははっ!」
ゆあんくんが笑う。今までで一番、自然な笑顔だった。その笑顔を見て、俺も笑った。
『最年少キャプテン。』『バスケ部キャプテン。』『クラス対抗リレーアンカー』
それは全部ゆあんくんの肩書き。
でも。今俺の目の前で笑ってるのは
💚「…普通の男の子だな」
❤️「なんて?」
💚「なんでもないよー」
❤️「え、なんかちょっとキモい」
💚「どこがだよ!! 」
ゆあんくんは笑いながら空を見上げた。
夏みたいな空。暑い太陽。体育祭は、もうすぐ終わる。結果は二位。優勝ではなかった。
でも――。
❤️「……なんか、今日すごく楽しかったな」
💚「でしょ!」
💛「キッチンカーもあったしな笑」
💚「それは俺が一番楽しんだ!」
❤️「あははっ!」
三人で笑う。その時。少し離れたところから、クラスメイトの声が聞こえた。
「ゆあん、お疲れ!」「アンカーかっこよかったぞ!」「またバスケ部でもよろしくな!」
❤️「……!」
ゆあんくんは、少し驚いた顔をした。
そして――。
❤️「うん!」
笑顔で返事をした。ゆあんくんは少し考えて…
❤️「…あはは、なんか俺、たっつんと似てるかも」
💛「え?そうかぁ?」
💚「うん!めっちゃ似てるよ2人とも!」
❤️「あ、それって俺も天才ってこと?笑」
💚「違うよ、そっちじゃない笑笑」
俺はそんなゆあんくんを見て、自然と笑った。
💚「……やっぱり、笑ってるほうがいいね」
❤️「え?」
💚「なんでもない!」
💛「またなんか言っとる笑」
💚「いいじゃん!」
その後も体育祭は続いた。グラウンドには、勝って喜ぶ人、負けて悔しがる人、応援に夢中になる人――
たくさんの笑顔があふれていた。そして体育祭が終わる頃、俺たちは校庭の端に座っていた。
🩷「お疲れさまです!」
のあちゃんが走ってくる。
💚「疲れた〜!」
💛「お前、途中ほとんど応援しとっただけやろ」
💚「応援も立派な仕事ですー!」
❤️「じゃぱぱ、ずっと叫んでたもんね笑」
💚「ゆあんくんまで!?」
🩷「でも、楽しかったですね。」
💛「せやな」
❤️「うん」
夕方の風が、少しだけ涼しくなっていた。俺は今日一日のことを思い返た。
最初は、ゆあんくんがちゃんと楽しめるか心配だった 。
でも――。今はこんなに笑っている。
💚「……よかった」
❤️「何が?」
💚「ゆあんが楽しそうで!」
❤️「……!」
ゆあんくんは少し黙った。そして、ふっと笑う。
❤️「ありがとう、じゃぱぱ」
💚「うん!」
💛「俺も忘れんといてな?」
💚「もちろん!」
🩷「私もですよ〜?」
💚「のあちゃんも!」
🩷「ふふっ」
みんなで笑う。体育祭は終わった。
でも――。
一人では抱えきれないことも、二人なら。三人なら。みんななら、 きっと――。なんとかできる。
そんな気がした。夕焼けに染まった校庭を眺めながら、俺は笑った。
人を助けるって、答えを教えてあげることじゃないのかもしれない。一人で頑張らなくていいって、気づかせてあげること。
なんでも相談部を作ってよかった。
そして――。今日、ゆあんくんは少しだけ。
『キャプテン』じゃなくて、『普通の男の子』
に戻れた気がした。
ここまで読んでくださりありがとうございました〜!これでゆあんくんのお悩み&体育祭編は終了となります!!ゆあんくんのお悩みはすごくたっつんと似ています。でも、 たっつんは分け合うことで根本的なところはまあ改善されたんですけど、ゆあんくんはリレーのアンカーなのでそれをじゃっぴと半分ずつ走るとかそんなことはできないので、プレッシャーを 緩和するだけで改善は難しかったです!でもそこが逆にリアリティがでたかと思います。
それとなんでも相談部のイラストを描いてみました!!始めて描いたので難しかったです!!お気に入りは2人の身長差とたっつんの萌え袖、たっつんの持っている手帳です!(手帳にかわいいステッカーが貼ってあるのがかわいい!)
次は天才の期末テスト…!?
NEXT♡60↑
コメント
1件
あおいです🌷 ゆあんくんが体育祭を“楽しそうに”走る姿、本当にじんと来ました。たっつんの「一人の責任になるん?」という言葉がすごく沁みますね。最後の「普通の男の子」という一文、胸がぎゅっとなりました。キャプテンでいることの重さを、そっと下ろせる居場所があるって、素敵だなあ📘
#リクエスト
Rei7
1
118
えとゆあ推し!
61