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えとゆあ推し!
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第10話 もう一度
梅雨真っ只中の空は、今日も分厚い雲に覆われていた。
朝から降り続いている雨のせいで、校庭にはいくつもの水たまりができている。
窓ガラスには細かな雨粒がびっしりと張り付いていて、いつもなら聞こえてくる運動部の声も、今日はほとんど聞こえない。
雨の音だけが、一定のリズムで校舎に響いていた。
そんな日の放課後。
俺はいつものように、なんでも相談部の部室でたっつんと二人で過ごしていた。
六月に入ってからというもの、雨の日が増えた。
部室の窓を開けても涼しい風が入ってくるわけではなく、むしろ湿った空気が入ってきて、なんとなく体まで重く感じる。
💚「……じめじめする〜」
💛「梅雨やからな」
💚「暑いし、じめじめするし、ず〜っと雨だし……」
💛「文句多いなぁ笑」
💚「だってさぁ〜」
俺が机に突っ伏していると――。
コンコン。
扉を叩く音がした。
💚「どうぞー!」
ガチャ。
扉が開く。
そこに立っていたのは――。
🩵「こんにちはー!!」
水色のポニーテールを揺らしながら、元気いっぱいの女の子が立っていた。
外はあんなにどんよりしているのに、この子だけは太陽みたいに明るい。
この子は確か…
💚「あ、るなちゃん!来てくれたんだ。」
🩵「じゃぱぱさん!たっつんさん!」
この前のあちゃんと一緒にいた子だ。
確か家庭科部の1年生って言ってたな。
ついでになんでも相談部の宣伝しといたんだけど来てくれたんだ!
💛「おー、るなちゃん。どうしたん?」
🩵「実はですね!」
るなちゃんは、明るい笑顔を浮かべながら部室へ入ってくる。
そして、胸を張った。
🩵「るな、ちょっと困ってるんです!」
💚「お!」
💛「困りごととかあるんだ」
おぉ。たっつんなかなか失礼なこと言うね。
まあ確かにるなちゃんはいつも元気だ。
困っているようには見えない。
少し意外だ。
🩵「なんと……」
るなちゃんは一度ためてから――。
🩵「テストの点数が伸びません!!もうすぐ期末考査なのに!!」
💚「……」
💛「……」
……なるほど。そういうことか。
🩵「るなは天才なのに!!」
💚「あ〜…」
💛「自分で天才言うな笑」
🩵「だってるな、めちゃくちゃ勉強してるんですよ!?」
💚「へぇ〜!」
🩵「毎日ちゃんと勉強してるんです!」
💛「じゃあ、点数どれくらいなん?」
🩵「それが……」
さっきまで元気いっぱいだったるなちゃんの目が、少しだけ下を向いた。
🩵「……思ったより、伸びないんです」
💚「……」
その声は、さっきより少しだけ小さかった。
いつものるなちゃんだったら、もっと大きな声で「だから困ってるんです!」とか言いそうなのに。
俺は少しだけ姿勢を正した。
🩵「勉強してるのに……なんでなんでしょう?」
俺とたっつんは顔を見合わせる。
これは、ただ『もっと勉強すればいい』という話じゃない。
るなちゃんはちゃんと勉強している。
それなのに結果が思うようについてこない。
だったら、まずは――。
💛「なるほどな」
💚「じゃあ、まず原因探してみよっか!」
🩵「原因?」
💚「うん!るなちゃんの過去のテストとか見せてもらえる?」
🩵「もちろんです!」
るなちゃんはすぐに鞄を開けた。
中から、折れないようにクリアファイルに入れられたテストが何枚も出てくる。
ちゃんと保管していたらしい。
🩵「じゃーん!」
💚「おお……いっぱいある」
💛「ちょっと見せて〜」
たっつんがテストを受け取り、一枚ずつ眺めていく。
俺はその横から覗き込む。
テストには赤ペンで丸やバツがついている。
点数はどれも結構高いが教科によって偏りがある。
💚「……」
💛「……」
💚「……」
💛「……」
たっつんの目がどんどん真剣になっていく。
るなちゃんも隣からじっと見つめていた。
俺は何となく、たっつんの顔とテストを交互に見る。
こういうときのたっつんは、本当に真面目だ。
普段は俺のことをアホだなんだと言ってくるくせに、こういうところでは頼りになる。
💚「……どう?」
💛「ちょっと黙っといて」
💚「はい」
即答された。俺は素直に口を閉じる。
たっつんは一枚目、二枚目、三枚目と、順番にテストを確認していく。
ただ点数を見るだけじゃない。
どこを間違えているのか。何を間違えているのか。同じような間違いが繰り返されていないか。
そんなところまで見ているようだった。
るなちゃんも黙って待っている。
さっきまでの明るい笑顔は少し消えていた。
🩵「どうですか?」
💛「……社会、めっちゃええやん」
🩵「でしょ!?」
るなちゃんの顔が一瞬で明るくなる。
💛「理科もかなり取れてる」
🩵「ふふん!」
💚「英語も悪くないね」
🩵「もちろんです!るな天才なので!」
💛「はいはい笑」
たっつんはさらにテストをめくる。
そして――。
💛「でも……」
そこで、たっつんの表情が少し変わった。
💛「国語と数学やな」
🩵「……やっぱり?」
💚「この二つが苦手なんだ?」
🩵「はい……」
るなちゃんは少し困ったように笑った。
🩵「社会とか理科とか英語は、覚えればできるんです」
💛「うん」
🩵「だから、いっぱい勉強したらちゃんと点数が上がるんです!」
💛「せやな」
🩵「でも国語と数学は……」
るなちゃんはテストを見つめる。
そこには、正解できている問題もたくさんある。
でも、ところどころで惜しい間違いがあった。
知識がないわけではない。
知らないから解けなかった、という問題ばかりでもない。
🩵「勉強してるのに、思ったほど点数が上がらなくて」
💚「……なるほど」
たっつんは数学のテストを手に取った。
💛「これ、計算ミスやな」
🩵「え?」
💛「ここも。あとここも」
たっつんがなんかしらんけどいつも常備してる赤ペンで間違いを指していく。
💛「数学の知識がないから間違えたんやなくて、途中でミスしてる」
🩵「……!」
るなちゃんが身を乗り出す。
自分の間違いを、改めて見つめる。
💛「こっちは問題文の読み落とし」
🩵「あ……」
💛「国語もそうやな。答えを知らんかったわけやなくて、文章の読み取り方で落としてる問題が多い」
るなちゃんは黙ってテストを見つめていた。
さっきまでの明るい表情が、少しずつ真剣なものに変わっていく。
そして、しばらく考えたあと。
🩵「……じゃあ」
るなちゃんが顔を上げた。
🩵「るな、勉強ができないわけじゃないんですか?」
💛「全然ちゃう」
たっつんは優しく微笑みかける。
💛「むしろ覚える力はかなり強いと思う」
🩵「……!」
💛「社会も理科も、ちゃんと覚えられとる。英語も単語や文法はかなりできてる」
💚「つまり――」
俺は笑った。
💚「るなちゃんは、『覚える』のが得意なんだね!」
🩵「……!」
💛「でも国語や数学みたいに、覚えたものを使って考える問題になると、ちょっと苦手が出る」
🩵「……なるほど」
るなちゃんは、しばらく自分のテストを眺めていた。そして――。
🩵「じゃあ……」
少しずつ目に光が戻っていく。
🩵「そこを練習したらいいんですね!」
💛「そういうこと!」
🩵「なるほど!!」
るなちゃんの顔がぱっと明るくなった。
🩵「じゃあ、るな、もっと天才になれますね!!」
💛「…努力次第?」
💚「いいじゃん!目標は高く!」
🩵「ですよね!」
💚「じゃあ一緒に勉強しようよ!」
🩵「はい!」
るなちゃんは嬉しそうに頷いた。
その顔を見て、俺も自然と笑った。
原因が分かっただけでも、少し安心したのだと思う。
点数が伸びない理由が、『勉強していないから』
ではなかった。
むしろ、るなちゃんはちゃんと努力している。
ただ、その努力の向け方を少し変える必要があるだけだった。
――その日から。
俺たちは放課後になると、三人で勉強するようになった。
もちろん、一応部活中なので相談を受けることもある。
でも、相談者が来ない日は――
💛「よし。今日は数学やるで」
💚「えぇ……」
🩵「るなも数学です!」
💚「なんで俺まで……」
💛「お前も期末考査あるやろ」
💚「あるけど……」
💛「じゃあやれ」
💚「はい……」
机を並べて、三人で問題集を開く。
窓の外では今日も雨が降っている。
ザーザーと降る雨の音を聞きながら、俺たちは黙々と問題を解いていく。
るなちゃんは、たっつんに教えてもらったことをノートに書き込んでいく。
間違えた問題には印をつける。
どうして間違えたのかも書く。
俺はその隣で自分の問題集を眺める。
……そして。数分後。
💚「たっつん」
💛「なんや」
💚「これ分からん」
💛「お前…まだ3問しかやってないやん。どれ」
💚「3問も!ね。これ」
💛「……お前、そこ昨日教えたやろ」
💚「忘れた!」
💛「なんでやねん!」
🩵「じゃぱぱさんがんばって!」
💛「るなちゃんじゃぱぱを甘やかすなって!」
💚「たっつんが冷たい!」
💛「お前がやらないからやろ!」
🩵「あはははっ」
るなちゃんが楽しそうに笑う。
💚「るなちゃん笑わないでよ!🥺」
🩵「だってじゃぱぱさん面白いんですもん!」
💚「たっつんが教え方悪いんじゃない?」
💛「なんで俺のせいやねん!もう教えてやらんぞ!」
💚「あ〜!うそうそ!冗談じゃん!たっつん大好き!教えてください!」
🩵「あははっ」
部室に笑い声が響く。
雨の日なのに、なんだか明るい。
その日だけじゃない。次の日も。その次の日も。
俺たちは放課後になると部室に集まった。
ある日は英語。ある日は数学。またある日は国語。
るなちゃんは、苦手な問題から逃げることはなかった。
🩵「ここ、昨日も間違えました!」
💛「ほんなら、もう一回やろ」
🩵「はい!」
💚「るなちゃん、すごいなぁ」
🩵「え?」
💚「普通、苦手な問題って嫌にならない?」
🩵💛「嫌、ですよ?/だろ」
💚「嫌なんだ!?」
🩵「でも、できないままなのはもっと嫌です!」るなちゃんは笑った。
🩵「だから、できるまでやります!」
💚「……ははっ」
俺は思わず笑ってしまった。
💚「やっぱりるなちゃん、努力の天才だね」
🩵「えへへ!」
最初のころは、数学の問題を見ただけで
「うーん……」と首を傾げていた。
でも、少しずつ変わっていった。
問題文を最後まで読むようになった。
計算途中を急がなくなった。
間違えた問題をもう一度解いて、今度は正解できるようになった。
国語でも、答えだけを見るのではなく、『どうしてこの答えになるのか』を考えるようになった。
そのたびに――。
🩵「できました!」
💛「お、正解や」
🩵「やったー!」
るなちゃんの嬉しそうな声が部室に響いた。
点数はまだ分からない。
それでも、できることは少しずつ増えていた。
そんな時間が、俺はなんとなく好きだった。
雨が降っている日は、外で遊ぶこともできない。
でも、部室の中では笑い声が聞こえる。
るなちゃんが問題を解いて。
たっつんが教えて。
俺がサボって。
そして三人で笑う。
そんな放課後が、何日も続いた。
やがて、期末考査前日になった。
窓の外では、相変わらず雨が降っていた。
部室には俺たち三人しかいない。
いつもなら明るいるなちゃんも、今日は静かに問題集を見ている。
🩵「……明日かぁ」
💚「緊張してる?」
🩵「ちょっとだけ」
るなちゃんは問題集を閉じる
🩵「前よりできるようになったとは思うんですけど……」
💛「うん」
🩵「それでも、もし点数が変わらなかったら……」
るなちゃんの目線が、机の上へ落ちる。
🩵「るな、ちゃんと頑張ったのにって……ちょっと悲しくなるかもしれません」
俺は少しだけ考えてから、るなちゃんを見る。
確かに、テストの点数は大事だ。
頑張ったなら、結果が欲しい。
それは誰だって同じだ。
でも――。
俺は、ここ数週間のるなちゃんを知っている。
何度間違えても、もう一度問題を解いていた。
できなかった問題ができるようになったとき、本当に嬉しそうに笑っていた。
だから。
💚「大丈夫だよ」
🩵「……」
💚「だって、るなちゃんがどれだけ頑張ってたか、俺たち知ってるから」
💛「うん」
🩵「……!」
💚「それに、点数だけじゃないよ」
俺は笑う。
💚「前はできなかった問題、今はできるようになったじゃん」
🩵「……」
💚「だから――」
俺は自然と口にしていた。
💚「大丈夫だよ、るな」
🩵「……!」
るなちゃんが顔を上げる。
少し驚いたように目を丸くしている。
🩵「……るな?」
💚「……あ」
俺も少しだけ驚いた。
いつもは『るなちゃん』って呼んでる。
でも、今はなぜか自然に『るな』って呼んでいた。
💚「……うん」
俺は笑った。
💚「るななら大丈夫」
るなちゃん――いや、るなは少しだけ目を細めた。
そして、ふっと笑った。
🩵「……はい!」
その笑顔は、いつもの明るいるなの笑顔だった。
でも、いつもより少しだけ強く見えた。
俺はそれを見て、きっと大丈夫だと思った。
明日の結果がどうなるかは、まだ分からない。
でも、ここまでやってきた時間だけは、なくならない。
外では、雨が降り続いている。
梅雨の空は、まだ晴れそうにない。
それでも――。
明日はきっと、今日より少しだけ前に進める。
そんな気がした。
【6月下旬】
ここまで読んでくださりありがとうございまーす!!
今回はいつもと少し書き方を変えてみました!改行多めにしました。読みやすくなりましたか?
天才るなちゃんの悩み。それは勉強しているのに結果が思うようについてこないこと。るなちゃんは無事に期末テストの点数を上げることができるのでしょうか?
キャラクター紹介
🩵=るな、1年A組。明るくポジティブな性格。自称天才。覚えるのは得意だけど考えるのは苦手。
いつも♡ありがとうございます!!思ったよりも早く♡60達成できて嬉しいです!ありがとうございます!!ちなみに♡2000以上またはAIさんいがいのコメント2件以上で新しい作品も書こうと思ってるので、♡、コメント、よろしくお願いします!!
次回♡60↑
コメント
1件
第10話、読み終わりました! 今回はるなちゃんのお悩み回でしたね。勉強してるのに結果が出ないもどかしさ、すごく共感しました。たっつんがテストをじっくり見て「覚えるのは得意だけど、考える問題が苦手」と分析するシーン、丁寧で良かったです。そして最後、じゃぱぱが自然に「るな」って呼んだところ、じんときました。仲の深まりが感じられて好きです。改行も多くて読みやすかったです!るなちゃんの成長、楽しみにしてます🌷