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兄妹愛

1 - 再会

♥

20

2025年08月23日

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再会


―――カツ、カツ、と硬い靴音が廊下に響く。新学期、始業式を終えたばかりの高校一年、すいは校舎裏に続く渡り廊下を歩いていた。

春だっていうのに、心は全然晴れやかじゃない。

親の離婚で離れ離れになってから、もう何年も会っていない“兄”のことを、考えるたびに胸の奥がチクっと痛む。

「……別に、会えなくてもいいし。」

そう呟きながら、ポケットに突っ込んだ拳を握る。

だけど、本当はずっと会いたかった。

自分がグレてしまった理由も、兄に会えなかった寂しさが大きいって、すいは気づいていた。

そのとき。

渡り廊下の向こう側から、二人組の男子が慌てたように走ってくるのが見えた。

そして、彼らの後ろを――ゆっくりと、しかし確かな足取りで歩く一人の男子生徒。

長身で整った顔立ち、無駄のない動き。

けど、何よりも印象的だったのは、その冷たい目。

「……っ」

すいは一瞬、呼吸を忘れた。

―――あの目を、知ってる。

「ゆ……い……?」

小さく声に出した瞬間、その男子が足を止め、こちらを振り返る。

「……すい」

それだけ。

名前を呼ぶ声は、昔と何も変わってなかったのに、顔つきも雰囲気も、まるで別人のように大人びていた。

「な、なんで……ここに……」

問いかける声はかすれて震える。

すると、ゆいは片手をポケットに突っ込み、視線をそらさずに淡々と言った。

「俺、この高校の三年」

「は……?」

驚きのあまり、言葉が詰まる。

離婚してからずっと会えなかった兄が、まさか同じ高校に。

頭の中で現実感が追いつかない。

「……元気そうだな」

「っ……別に、普通だし」

反射的にそっけなく返す。

そうでもしないと、今にも泣きそうになるから。

沈黙が流れた。

昔みたいに笑い合うわけでもなく、優しく頭を撫でられるわけでもなく。

ただ、距離があって、言葉が足りない。

だけど、ゆいの目はすいをじっと見つめたまま、わずかに細められた。

その表情は、無愛想なはずなのに――どこか、安堵しているようにも見えた。

「……もう、悪さすんなよ」

低く、抑えた声で呟く。

すいは眉をひそめ、顔をそらした。

「は? 別にアンタに心配される筋合いないし」

「……お前、最近ケンカして停学食らっただろ」

「っ……! なんで知って……」


悔しい。

本当は怒られるのが嫌なんじゃない。

心配してくれてるってわかってしまうから、余計に胸が締めつけられる。

「……うるさい」

背を向けて歩き出すと、背後から低い声が追ってきた。

「すい」

足を止める。

振り返らずにいると、少し間を置いてから、ゆいが続けた。

「……もう、離れねぇから」

その一言に、胸の奥が熱くなる。

でも、振り返らない。

泣き顔を見せたくなかったから。

――こうして、離れ離れになった兄妹は、同じ高校で再会を果たした。

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コメント

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クラゲちゃん!見れた!! やった!

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