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私はそんなに強くない。無理して頑張ろうと、自分に暗示をかけてやり過ごしてはいたけど、梨花さんのことは悠人にも相談できなくて、困っていたから。
梨花さんを店から追い出すみたいな形になってしまったのは事実で、申し訳ない気持ちはあるけど、きっと新しい環境でも梨花さんの腕ならすぐに通用する。それは、シャルムのみんなが保証してるし、店を変わって心機一転頑張ることは、梨花さんにとっても絶対にいいはずだって……そう信じたかった。
梨花さんに教えてもらったこと、特にカットの技術は、これからもしっかり磨いていこうと思う。辛い時もあったけど、梨花さんには感謝を伝えたい。
数日が経ち、仕事の合間に私は悠人に呼ばれた。
「悠人、どうしたの?」
「今から山田様の予約。その前に、穂乃果に言っておく。次の月曜日、2人で遊園地に行こう。もう決めたから反対は無し」
「遊園地? 悠人が?」
遊園地なんて、イメージに全くないんだけど……
「そんな言い方はないだろう。だから……嫌だったんだ」
ちょっとすねたように目をそらす悠人。
「嘘だよ。すごく嬉しい。遊園地に連れてってくれるなんて楽しみ」
「遊園地なんて子どもの時以来行ってないから、よくわからないけどな……」
「大丈夫だよ。遊園地大好きだから、私がリードするね。でも、久しぶりだからなぁ~」
ついつい、はしゃいでしまう。悠人と遊園地、想像するだけですごくワクワクしてきた。
「チケットは買っておく。俺も……た、楽しみにしてる」
悠人、照れてる?
ほんの少しだけ動揺している悠人が、すごく可愛く思えた。
待ち遠しかった月曜日が訪れた。
シャルムはお休み。
いつもなら、別の仕事に行くことも多い悠人だけど、今日は2人で遊園地にいる。悠人と遊園地に来られるなんてちょっと信じられない。
だけど……この状況か素直に嬉しかった。
目の前の光景にワクワクする。
「穂乃果、リードしてくれるのは有難いけど、俺……」
「何? どうしたの?」
「ジェットコースターは……無理だ」
え? 嘘みたい。
恥ずかしそうに顔を赤らめる悠人。
「じゃあ、ジェットコースターは止めよう。最初はお化け屋敷ね」
「あ、いや……お化け屋敷もちょっと……」
「えー! それじゃあ、何もできないじゃない」
「ごめん。あ、あれなら乗れる」
悠人が指さしたのは、メリーゴーランド。
「あ、あれ。ま、まあ、いいけどね」