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#離婚
#大人の恋
8. ◇受け入れがたい
最初エリカと出会った時というのは、体調が悪くなった時にいつも利用する
内科医院の看護師と患者という関係でしかなく──
看護師としての彼女をなんとなく見知っている、というだけのものだった。
ある日のこと、たまたま私たちが知り合う切っ掛けとなる出来事が
起こった。
その日、私は所用で土手沿いに車を走らせていた。
すると、すぐ側の河で子犬が溺れているのが視界に入ってきた。
……と共に、ひとりの女性がその犬目掛けて河の中に入って
行くのが見えた。
特に急ぐ用事もなかった私は、心配もあって、しばらく彼らの様子を見守ることにした。
女性自身も泳ぎが得意ではないのか、なかなか子犬を掴まえる
ことができず、難儀していた。
その往生している様子を目にした私は、素早く動いた。
我が家でも犬を飼っているので、救助した後のことも手助けできるだろう
という経験値と余裕があり、自分の中で動くのに迷いはなかった。
その日のことを切っ掛けに犬好きの私たちの交流が始まり、
エリカと会う回を重ねるごとに心身共に私は癒されていった。
ただの肉欲だけの関係ではなく、彼女との穏やかなスキンシップや随所に
相手を気遣う言葉が散りばめられている会話は、生きていく上での潤いとなり、
徐々に彼女の存在は私にとって日々の生活になくてはならないものとなっていった。
◇ ◇ ◇ ◇
妻は私の言葉に満足し安心したようだった。
そして私たちは今まで以上に仲の良い夫婦になった。
それは今も変わらない。
あれからレスも解消された。
私の話す言葉を一言一句逃すまいという姿勢で、私に向き合ってくれ前にも増して
私たちのコミニュケーションは密に取れるようになっていると思う。
だからなのだ。
目の前を通り過ぎて行った妻と若い男のカップルの親密さが
受け入れがたいのだ。