テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
夜中、水が少しでも寝返りを打とうものなら、すぐに俺は目を覚まして「どこ行くの?」って耳元で囁く。
水の首筋に唇を這わせて、逃げ道を全部塞ぐ。
水「….トイレだよ」
水の声は寝ぼけてて、甘くて、俺の心臓を掴んで離さない。
桃「ダメ」
俺は水の腰に腕を回して、ベッドに引き戻す。
桃「 俺がここにいるのに?俺が水の全部受け止めるからもうどこにも行かないで」
水はため息を吐いてすぐに俺の髪を優しく撫でた。
水「…..桃ちゃんって本当に僕のこと好きすぎるよね」
次の瞬間、俺は仰向けに押し倒されて、水の瞳が闇の中で光る。
水「僕の方が、ずっと狂ってるんだよ」
水の指が俺の喉をなぞる。
水「桃ちゃんが寝てる間にスマホのロック全部解除した。 LINEも全部見た。写真も全部見た。桃ちゃんが昔好きだった奴の名前まで、全部覚えた」
桃「水…..?」
水「明日から桃ちゃんが外に出るたびに僕がついていく。僕の目が届かない場所には、もう一歩も行かせない」
水の唇が俺の耳に触れる。
水「逃げようとしたら足の腱、切っちゃうよ?」
俺は震えて、でもその言葉に甘く連れた。
桃「…..そんなこと、言わないで」
水「言わなきゃわかってくれないでしょ」
水は俺の頬を両手で挟んで、逃げられないように固定する。
水「僕は桃ちゃんがいなくなったら、本当に死ぬ。桃ちゃんがいなきゃ僕の心臓止まる。だから…..桃ちゃんも、僕なしじゃ生きられないようにしてあげる」
俺は涙をこぼしながら、水の首にすがりついた。
桃「俺、もう…..水以外見えないよ」
水「僕も」
桃「他の人なんて誰もいらない。水だけでいい」
水「もっと」
桃「水が死ねって言ったら俺死ぬ。水が一緒に死のうって言ったら、笑って死ねる」
水「えらいね」
水は満足そうに微笑んで、俺の唇を奪う。
深くて、熱くて、息もできないくらいに。
水「僕の桃ちゃんは、僕だけのもの」
桃「…..うん。俺、水のものだよ。永遠に」
朝が来ても、カーテンは開けない。
スマホの電源は切ったまま。
部屋の鍵は三つとも内側からかけた。
外の世界は、もう必要ない。
ただ互いを飲み干して、溶けて、混ざって、壊れて、もう二度と分かれないように、ずっと、ずっと、ここに沈んでいく。
水「大好きだよ」
桃「俺もだよ」
これ以上、何もいらない。
俺たちは、もう完全にお互いの牢獄になった。