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2022年5月26日は八雲法律事務所の所長山岡裕明弁護士の40歳の誕生日だ。

山岡所長は自分の誕生日を世界一のおもてなしをされて祝われなければ気が済まない男なのである。

2022年5月25日、山岡所長はいつもよりも早く18時前には事務所を後にした。

山岡所長が帰った後は明日の誕生日パーティーの為の計画と準備が始まる。

実際の所は1年前から計画が始動していると言っても過言ではない。

11人全員が夜なべして会場準備や機材の最終点検、業者との打ち合わせに取り組む。

残業代などでるはずもないのだが、山岡所長の誕生日パーティーの出来は翌日以降の1年間を大きく左右することを11人は知っているので手を抜くことはできないのである。

八雲法律事務所において、山岡所長の誕生日は事務所設立日より断然大事な記念日。

一切の妥協は許されない。

山岡所長の機嫌を損ねるようなことがあれば弁護士人生に暗雲が漂う。

11人はこの日だけは一致団結して何とか山岡所長を喜ばることだけに神経をフル稼働させるのである。

誕生日パーティ-と言われればプレゼントがメインになると思うが、山岡所長にとって最高のプレゼントは物品ではなく体なのである。

物品も一応渡すのだが、去年も参加した人によると一時的な機嫌取りにしかならないらしい。

結局の所、この1年で最も美しく気持ちいい性行為が山岡所長が喉から手が出るほど欲しいものなのである。

その為には、部下一同は1年を通して体調管理に励み、5月26日に最高のコンディションを仕上げることが求められる。

正直5月に入ってからは法律のことなど気が気でない。

特に可哀想なのは加入して間もない笠置弁護士。

山岡所長を怒らせたら何をされるか分からないので1週間以上は不安で寝ることすらできていないと伺っている。

普段は「穴の通りが悪い」や「美味しくない」や「あまり気持ちくない」というだけで見逃してくれる山岡所長だが、この日だけは人が変わるという。

兎に角自分の誕生日を世界一のおもてなしをされて祝われなければ気が済まない男だから部下一同は受け入れざるをえないことなのであり、この事務所を選んでしまったが故に起こった災難なのである。

悲観しても状況は打破できない。

というよりこんなことを語っている場合ではない。

時計を見ると間もなく山岡所長が出社する時間。

緊張が高まる一同を目前に遠くから鈍い足音がするのを聞いた。

誕生日パーティーは今から始まるのだ。

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