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休日の午後、続き
アニメを数話観終えた頃には、外はすっかり夕暮れに染まっていた。窓の隙間から差し込む橙色の光が、薄暗い部屋を優しく照らす。
ボクっ娘「ふぅ〜、やっぱ一気見って最高!でも……お腹すいたぁ」
チー牛君「……やっぱりな」
ボクっ娘「チー牛君もでしょ?さっきからポテチしか食べてないじゃん」
チー牛君「まあ、確かに」
お互い顔を見合わせて笑う。
日常のほんの一コマなのに、それが妙に心地よい。
一緒に料理を始める
ボクっ娘「ねぇ、せっかくだし一緒にご飯作らない?」
チー牛君「……作るって、俺の家の台所で?」
ボクっ娘「そう!簡単なやつでいいから。二人で作ったら楽しいよ」
チー牛君「……楽しい、ね」
ボクっ娘「チー牛君、包丁くらい持てるでしょ?」
チー牛君「……一応な」
ボクっ娘「じゃあ決まり!」
彼女にぐいぐい押される形で、二人はキッチンへ移動する。
チー牛君の部屋の台所は狭いワンルーム仕様。二人並ぶと肩が触れそうなくらい距離が近い。
チー牛君「……狭いな」
ボクっ娘「いいじゃん、密着できて」
チー牛君「……お前は本当に……」
呆れたようにため息をつきながらも、心臓が妙に高鳴っているのを彼は隠せなかった。
簡単な献立
冷蔵庫を開けると、卵、玉ねぎ、冷凍の鶏肉、調味料がいくつか。
ボクっ娘がじっと眺め、指を鳴らした。
ボクっ娘「親子丼!これなら作れるよ!」
チー牛君「まあ……材料は揃ってるな」
ボクっ娘「じゃあボクが玉ねぎ切る!」
チー牛君「指切るなよ」
ボクっ娘「大丈夫大丈夫!……って、うわっ、目に染みる〜!」
涙目になりながら玉ねぎを刻む彼女を、チー牛君は苦笑しながら横で支える。
チー牛君「ほら、貸せ。こうやって切れば……」
ボクっ娘「あっ、すごい!さすがチー牛君!」
チー牛君「大したことない」
ボクっ娘「でもかっこいい〜」
彼の耳まで赤く染まる。彼女はそんな反応を見るのが楽しくて仕方ない。
完成した夕食
20分ほどで親子丼が二つ完成。湯気の立つ器をテーブルに並べ、二人で向かい合う。
ボクっ娘「いただきまーす!」
チー牛君「……いただきます」
一口食べた瞬間、彼女の目が輝いた。
ボクっ娘「んっ……おいしいっ!え、なにこれ、普通にお店レベルじゃん!」
チー牛君「大げさだって」
ボクっ娘「だって本当に美味しいんだもん!チー牛君、料理得意なんだね」
チー牛君「……まあ、たまに自炊してるだけだ」
ボクっ娘「かっこいい……やばい、惚れ直しちゃった」
チー牛君「……っ、またそういうこと言う」
からかい混じりの言葉に、チー牛君は視線を逸らす。けれどその頬は嬉しさで緩んでいた。
食後のひととき
食事を終え、食器を洗いながらも二人の会話は尽きない。
台所で隣に立つ距離感が、不思議と心地よい。
ボクっ娘「ねえ、こうやって二人でご飯作って食べてると、なんか同棲してるみたいだね」
チー牛君「……やめろ、変なこと言うな」
ボクっ娘「変じゃないよ。ボク、ちょっと憧れてたんだ。好きな人と一緒に料理して、一緒に食べて……すごく幸せ」
チー牛君「……俺も、悪くないと思う」
その一言に、彼女の顔がぱっと明るくなる。
再びアニメ鑑賞へ
片付けが終わると、二人はまたパソコンの前に戻る。
腹ごしらえを済ませたせいか、気持ちもリラックスしている。
ボクっ娘「さっ、続きを観よ!今日はできるだけ進めたい!」
チー牛君「……そんなに観たら眠くなるぞ」
ボクっ娘「いいよ、寝ちゃったらそのまま寝かせて」
チー牛君「……はあ」
再び物語の世界に浸りながら、二人は笑ったり驚いたり、感想を言い合ったりした。
ボクっ娘「あ、このシーン泣ける……チー牛君、泣いてる?」
チー牛君「泣いてない」
ボクっ娘「ふふ、目が潤んでるよ」
チー牛君「……お前だって鼻すすってんじゃん」
ボクっ娘「バレた?」
二人して顔を見合わせ、思わず吹き出す。部屋には温かな笑い声が広がっていく。
寝落ちの時間
数話観た頃、時計はもう夜遅くを指していた。
ボクっ娘はベッドにごろりと横になり、いつの間にか彼の肩に頭を預ける。
ボクっ娘「……ふぁぁ……チー牛君……まだ起きてる?」
チー牛君「……起きてる」
ボクっ娘「そっか……ボク、すっごく楽しかったよ……ありがと」
チー牛君「……俺も」
彼女の返事はなかった。もう寝息を立て始めている。
チー牛君はしばらくその寝顔を見つめ、そっと毛布をかけてやった。
チー牛君(心の中)「……本当に、幸せだな」
静かな部屋に、アニメのエンディング曲と二人の呼吸だけが響く。
やがて彼もまぶたが重くなり、そのまま彼女の隣で眠りに落ちた。