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翌朝 カーテンの隙間から差し込む光が、部屋をやわらかく照らしていた。
携帯のアラームより早く、チー牛君はふと目を覚ます。
隣では、昨日アニメを観ながら寝落ちしたボクっ娘が、まだ静かに寝息を立てている。
小さな寝言と、ときどき毛布を蹴飛ばす仕草が、あまりに無防備で――チー牛君は思わず苦笑した。
チー牛君(心の中)「……よく寝てるな」
昨日、あんなに喋って、笑って、はしゃいで……。そりゃ疲れるに決まっている。
朝の支度
そっとベッドを抜け出す。
彼女を起こさないよう、忍者のように足音を殺し、台所へ向かった。
冷蔵庫を開けると、卵が数個、昨日の親子丼の残り食材、少しの野菜。
頭の中で献立を組み立てる。
チー牛君(心の中)「卵焼きと、味噌汁くらいなら作れるか」
包丁を握り、玉ねぎとネギを刻む。昨日一緒に料理したときの、彼女の泣き顔を思い出し、思わず口元が緩んだ。
チー牛君(心の中)「……楽しそうだったな」
味噌汁の香りが漂う頃、フライパンに卵液を流し込む。じゅっと音が鳴り、朝らしい温かさが部屋に広がった。
目覚め
「……んん……チー牛君……?」
不意に背後から声がした。振り向けば、寝癖だらけで目をこすりながら、ボクっ娘が台所の入り口に立っていた。
チー牛君「……起こしたか」
ボクっ娘「んーん、なんかいい匂いして……夢かと思った」
チー牛君「夢じゃない。朝ごはん、もうすぐできる」
ボクっ娘「……え、チー牛君が作ったの?」
チー牛君「一応な」
ボクっ娘「すご……なんか、ほんとに旦那さんみたい」
冗談めかした一言に、チー牛君の耳まで赤く染まる。
チー牛君「……そんなこと言うな」
ボクっ娘「だって本当にそう思ったんだもん」
朝ごはん
二人でちゃぶ台を挟んで座る。
湯気の立つ味噌汁、ふっくらと焼かれた卵焼き、簡単なご飯と漬物。
ボクっ娘「いただきまーす!」
チー牛君「いただきます」
一口食べた彼女の目がぱっと開いた。
ボクっ娘「んっ……おいしい!卵焼き、甘めだ!ボクこれ好き!」
チー牛君「たまたま砂糖入れすぎただけだ」
ボクっ娘「違うよ、完璧!これ、毎朝食べたい!」
チー牛君「……そんなこと言っても、毎朝は無理だろ」
ボクっ娘「じゃあ……将来、一緒に住んだら作ってくれる?」
チー牛君「……っ」
彼は箸を止め、思わず視線を逸らした。
しかし彼女は真剣に笑っている。
チー牛君「……考えとく」
ボクっ娘「ふふっ、それで十分♪」
食後のひととき
食器を洗いながら、彼女が背後から抱きついてくる。
チー牛君「……おい」
ボクっ娘「いいじゃん、ちょっとくらい。ボク、こういうのしたかったんだよ」
チー牛君「落ちるぞ、水」
ボクっ娘「落ちてもいい。だって……昨日も今日も、全部幸せだから」
そう言って、彼女は小さな声で「ありがとう」と呟いた。
それだけで、チー牛君の胸の奥がじんわりと温かくなる。
午前の時間
片付けを終えると、二人は再びパソコンの前に腰を下ろす。
昨日の続きを観るかと思いきや、ボクっ娘は大きな伸びをして彼の肩にもたれかかった。
ボクっ娘「ねぇ、今日はのんびりしよ。アニメ観てもいいけど、チー牛君とまったりするだけでもいい」
チー牛君「……お前ってほんと自由だな」
ボクっ娘「でしょ?でもチー牛君はそういうとこ、嫌いじゃないでしょ?」
チー牛君「……まあな」
小さな部屋の中、二人だけの時間が流れていく。
テレビも音楽も要らない。隣に彼女がいるだけで、十分に賑やかで、温かい。